オリスとコレクティブ・オロロジーによる70年代風ウォッチが登場。

コレクティブ・オロロジー(Collective Horology)は、モンブランとコラボした1858 ミネルバ モノプッシャー クロノグラフのリリース後、大盛り上がりを見せている。今回のコラボ相手はオリスだ。1970年代にタイムスリップしたような新作を紹介しよう。

オリス ダイバーズ65 キャリバー400 C.04
ベースはほかのオリス ダイバーズ65と同じ、40mm径×12.8mm厚のステンレススティールケースを採用(少なくともCal.400ムーブメントを載せたモデルと)。今回の時計は1975年までさかのぼり、ブロンズのアクセントと、1970年代のキッチン(今まで想像したなかで最も派手なタイプ)から飛び出してきたような配色をまとう。本作はブロンズ製逆回転防止ダイビングベゼル、センターリンクにブロンズを配したブレスレットを備え、さらにイエローの夜光塗料を塗布したブロンズ針が、同じくイエロー夜光塗料のインデックスとマッチしている。文字盤はオレンジとイエローの夜光、そして赤みがかったオレンジが混ざり合っていて、70年代を生きたことがなくても直感的に70年代風だと思える。

オリス ダイバーズ65 キャリバー400 C.04
前述したように、時計は自社製ムーブメントのCal.400を搭載しており、約120時間のパワーリザーブを確保する。シースルーバックを備えたケースは100mの防水性を備えるなど、ほとんどの用途には十分なスペックだ。価格は4500ドル(日本円で約67万8000円)だが、これは自社製ムーブメントを考慮したものだ。本当に悔しいのは、これが連続生産されるわけではなく、250本しか製造されないことである。

我々の考え
我慢できない。言わせてくれ。これはグルーヴィー(超イイもの)だ。

オリス ダイバーズ65 キャリバー400 C.04のリストショット
コレクティブ・オロロジーのチームは、初期のダイバーズ65で様式化された夜光インデックスをうまく利用している(それ自体がヴィンテージオリスへの回帰である)。そこにブロンズの逆回転防止ベゼル、70年代らしいカラーリング、ブロンズ&SSのブレスレットでパンチを効かせており、今年発表されたオリスのなかでいちばん好きなモデルかもしれない。

ある時点で私は、オリスが旧来の非自社製ムーブメントをやめ、ダイバーズ65のラインナップをCal.400ムーブメントに完全移行するだろうと思っていた。結果は、ふたつの異なる価格帯を展開することで、ブランドを身近なものにさせた。しかしコレクティブ・オロロジーは少し高級なものにして、約120時間パワーリザーブを持つムーブメントをチョイスした。これは正しい選択だと思う。確かに、“ダイバー”と名を冠しているのに100mの防水性能しかないため、ダイビングに適した時計ではないが、カジュアルなスキンダイバースタイルの時計としては、とても楽しい選択肢であることは間違いない。

オリス ダイバーズ65 キャリバー400 C.04
コレクティブ・オロロジーのガーベ・レイリー(Gabe Reilly)氏が指摘しているように、ほかのブランドがブレスレットやベゼルに温かみのある色合いを出すときは、ゴールドキャップ(金メッキ等)を採用していたのに対し、オリスはラインナップの大部分をブロンズが占めている。多少の経年変化は起こるものの、ケース全体がブロンズで作られていないため、ヴィンテージの金無垢モデルや金メッキ時計で見られるパティーナのような雰囲気を演出し、しかもそのパティーナを得るのに50年もかからないという長所が、本当にクールに感じるのだ。

基本情報
ブランド: オリス × コレクティブ・オロロジー(Oris × Collective Horology)
モデル名: オリス ダイバーズ“75” キャリバー400 C.04(Divers "Seventy-Five" Calibre 400 C.04)
直径: 40mm
厚さ: 12.8mm
ラグからラグまで: 48mm
ケース素材: ステンレススティール、ブロンズベゼル
文字盤: オレンジ、イエロー、レッドのマルチカラー
インデックス: 70年代風のオーバーサイズプリント
夜光: あり、インデックスと針
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: ブロンズ&SSブレスレット

オリス ダイバーズ65 キャリバー400 C.04に搭載されたCal.400
ムーブメント情報
キャリバー: 400
機能: 時・分・センターセコンド
直径: 30mm
厚さ: 4.75mm
パワーリザーブ: 約120時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 21

価格 & 発売時期
価格: 4500ドル(日本円で約67万8000円)
発売時期: 現在生産中で、2023年12月に出荷予定
限定: 世界限定250本、コレクティブ・オロロジー公式ECサイトで販売

関連商品:https://www.hicopy.jp/brand-copy-IP-56.html

ゾディアック×ローイングブレザーズ いくつかの都市を変更した新しいワールドタイム GMTが登場

80年代…ディスコトップ、パンクロック、レザーブレザー、グラムロック。この時代にはすべてがあった。そして、もし本当にその時代をぜいたくに暮らしたいと思うなら、唯一無二の時計、彫刻のようなデザイン、スイスで手作りされた時計が欲しいはずだ。モンテカルロ、ビバリーヒルズ、ロンドン、パリ、ローマ、グシュタードの時間を同時に教えてくれる時計を。まあ、数十年遅れてしまったが、ゾディアックとローイングブレザーズは、まさにそんなシナリオにぴったりの時計をつくってくれた。

映画『大逆転(原題:Trading Places)』にてダン・エイクロイド(Dan Aykroyd)が嫌味なほど堅苦しく話していたロシュフコー(映画内で登場したブティックブランド)のような、ある種の薄さと彫刻のようなエレガンスはないが、ゾディアックとローイングブレザーズの新しいコラボレーションは、40mm径×13.6mm厚のステンレススティール製ケースとブルーベゼルを採用し、そこに映画で登場する重要な都市をすべて配した、新しいGMTワールドタイムウォッチだ。

内部には、ソプロード社製キャリバーをゾディアックがSTP7-20にアップグレードした、時・分・センターセコンド、日付表示を備えたコーラー(独立したGMT針)GMTを搭載する。ブラック文字盤にホワイトの24時間トラック、スーパールミノバ、文字盤にはローイングブレザーズのサインが入っており、5リンクのSSブレスレットが付いている。新しいゾディアックをつけて(ダン・エイクロイド演じる)ルイス・ウィンソープ3世のコスプレをしたければ、2195ドル(日本円で約31万9000円)かかる。彼が映画のなかで買った時計よりははるかに安いが、質屋で50ドルで買うよりかは高い。

我々の考え
恣意的であり知る人ぞ知る限定版ということで、これはこれでなかなかおもしろい。スーパーシーウルフGMTは、私のお気に入りの手頃なヴィンテージウォッチのひとつだが、ヴィンテージウォッチの堅牢性を心配していて、かつ新しくて信頼性が高くて楽しいものを求めているなら、ゾディアックとローイングブレザーズの新コラボ以上のものはないだろう。

実機を見たことがないので、新しいSTP7-20ムーブメントが使用中にどのような動きをするのかはわからない。自社製で(というよりゾディアックとSTPを所有するフォッシルグループとそのグループ内)、シリコンとアップグレードされたコンポーネントを追加することにより、強度の高いムーブメントを実現すると同時に、外部の業界プロバイダーに依存するサプライチェーンの問題を取り除くことができる。

それはそれでいいことだし、前モデルのスペックから少し価格が上がったことも正当化されるだろう。結局のところ、この時計は楽しさがすべてであり、私にとってはその条件を満たしている。さて、(映画のデューク兄弟のように)誰かジュースの先物取引をしたい人はいるだろうか?


基本情報
ブランド: ゾディアック×ローイングブレザー(Zodiac × Rowing Blazers)
モデル名: ワールドタイム GMT(World Time GMT)

直径: 40mm
厚さ: 13.6mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: ブラック
インデックス: アプライド、ワールドタイムベゼル
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 200m
ストラップ/ブレスレット: 5リンクのSS製ブレスレット、NATOストラップ付属

Zodiac x Rowing Blazers World Timer
ムーブメント情報
キャリバー: STP7-20
機能: 時・分・センターセコンド、日付表示、コーラーGMT(独立GMT針)
パワーリザーブ: 約40時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26
クロノメーター: なし
追加情報: 1980年代のホットスポットの都市に入れ替えたローイングブレザーズのシグネチャーブルーのワールドタイムベゼル

価格 & 発売時期
価格: 2195ドル(日本円で約31万9000円)
発売時期: すぐに
限定: あり、世界限定282本

ドイツの有名なカメラメーカーから発売された貴重な腕時計の、超限定バージョンだ。

ライカが新しいZM 11モデルを発表してからわずか数カ月後、ブランドはオリジナルのZM 1をベースにした最初のリミテッドモデルを正式ローンチした。新しいモデルはZM 1 ゴールド リミテッドエディションで、オリジナルのZM 1(以前のL 1)を踏襲しており、18Kレッドゴールド製ケースと、ブラウンのグラデーションダイヤルが特徴だ。

50本限定のZM 1 ゴールド リミテッドエディションは、オリジナルのZM 1の機能はそのままに、ケースとダイヤルを変更し、より温かみのある貴重なカラーリングに仕上げた、ブランドの最も熱心なファンのための特別なモデルだ。スタンダードモデルがブラック文字盤、赤のアクセント、スティールケースを備えているのに対し、ZM 1 ゴールドは特別な素材、特にゴールドとチタン(ムーブメントに使用)を使って表現する既存のライカ製品を再現している。

 ZM 1(これはこの記事でL2としてレビューしたZM 2の姉妹モデル)はレーマン・プレシジョン社(Lehmann Präzision)のカスタムムーブメントを採用した41mm径の時計で、時刻、日付、パワーリザーブインジケーターを提供。またパワーリザーブの巻き上げと時刻合わせのどちらを行うか、コントロールする特別な機能も備えている。この機能は第3のリューズに設定された赤いキャップのボタンで制御される。ボタンを押すとムーブメントが停止し、秒表示がゼロに帰零してリューズを回して時刻を合わせることができる。

 リューズの上にあるプッシャーで日付を進め、ワインディングモード(作動中)の場合は白、セッティングモードの場合は赤の小窓が開く。最後にカメラをテーマにしたもうひとつの演出として、ZM 1はカメラのシャッターのブレードを模した中央から開くパワーリザーブインジケーターを備えている。

leica ZM 1 gold
 リューズとプッシャーはチタン製で、ZM 1 ゴールド リミテッドエディションはブラウンのアリゲーターに18KRGのデプロワイヤントクラスプが付いており、価格は2万8000ドル(日本円で約411万8000円)となっている。

我々の考え
ZM 1 ゴールド リミテッドエディションは、ゴールドとブラックのカラーバリエーションを施した1929年発表のカメラ、“IA Luxus”へのオマージュとして製作された。しかし時計製品という観点から見ると、ZM 1とZM 2が発売されたときには感動したものの、時計がカメラのM 11と同等かそれ以上の価格で販売されることに、僕は純粋に疑問を感じていた。さて、数カ月前にライカ本社でZM 1 ゴールドエディションを見たとき、僕はいくつかの数字(とカラスのプレート)も手に入れた。

leica ZM 1 gold
leica ZM 1 gold
leica ZM 1 gold
 結局のところ、ライカはZM 1とZM 2を合わせて年間約500本しか生産しておらず、そのうちの30%はライカ以外の顧客に販売される。ということは、ライカのカメラを持っていない人たちが購入しているということだ。これは特筆すべきことであり、このリミテッドエディションがZM 1と2の年間生産本数の約10%を占めていることを意味する。すでに同意している人から賛同を得ようとしているようなものだ。

 時計のなかでも、ZM 1は非常に印象的なモデルだ。よくできていて、ライカのデザイン言語を踏襲し、カメラ関連のギミックを搭載しているが、それをまったく感じさせない。ケースと文字盤はデザインの顕著な表現であり、特に本当に特別なものを求めるライカコレクターのためのものである。とはいえ、ブラウン文字盤が僕の好みに合っているとは言えない。個人的にはやはりベゼルベースのGMT機能があるブラックとSSのZM 2を今でも気に入っているのだ。

 主な争点は価格だろうが、SS製のZM 1がおよそ1万2000ドル(日本円で約176万6000円)という値段を考えると、このゴールドとチタン製リミテッドエディションのライカからの提示価格には驚かない。50本しかないし、通りすがりの人に提供するような商品でないことは間違いない。この種のライカ製品は、あらかじめ購入資格がある可能性が高く、その魅力はフォーマットと極めて限定された生産数にある。私がヴェッツラー(またしても賛同を得よう)にいたとき、私は少なくともふたりの深いライカコレクターと話をしたが、彼らはゴールド製ZM 1のリストに名前が載ったことをとてもよろこんでいた。

leica ZM 1 gold
 ZM 1、ZM 2が発売されてから(2022年春以降に発売)、極めて短期間で成功を収めたことを考えると(最近のZM 11によるライカウォッチファミリーの拡大は言うまでもない)、ZM 1 ゴールド リミテッドエディションはライカからの真っ当な試みであり、本質的にはブランドの最もアクティブなコレクターのための特別なモデルとして機能するように感じられるのだ。

基本情報
ブランド: ライカ(Leica)
モデル名: ZM 1 ゴールド リミテッドエディション(ZM 1 Gold Limited Edition)

直径: 41mm
厚さ: 14.5mm
ラグからラグまで: 48mm
ケース素材: 18Kレッドゴールド
文字盤: アルミニウム、グラデーションブラウン仕上げ、ゴールドアクセント
インデックス: ゴールドプレートとダイヤモンドカット
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: アリゲーターレザーストラップ、18KRG製ディプロワイヤントクラスプ

leica ZM 1 gold
ムーブメント情報
キャリバー: LH-1001
機能: 時・分表示、スモールセコンド、日付表示、パワーリザーブインジケーター
パワーリザーブ: 約60時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26
追加情報: リューズプッシャーで時刻設定モードを起動

価格 & 発売時期
価格: 2万8000ドル(日本円で約411万8000円)
発売時期: 本日より世界各地のライカストアで販売
限定: あり、世界限定50本

唯一無二の時計、彫刻のようなデザイン、スイスで手作りされた時計が欲しいはずだ。

モンテカルロ、ビバリーヒルズ、ロンドン、パリ、ローマ、グシュタードの時間を同時に教えてくれる時計を。まあ、数十年遅れてしまったが、ゾディアックとローイングブレザーズは、まさにそんなシナリオにぴったりの時計をつくってくれた。

映画『大逆転(原題:Trading Places)』にてダン・エイクロイド(Dan Aykroyd)が嫌味なほど堅苦しく話していたロシュフコー(映画内で登場したブティックブランド)のような、ある種の薄さと彫刻のようなエレガンスはないが、ゾディアックとローイングブレザーズの新しいコラボレーションは、40mm径×13.6mm厚のステンレススティール製ケースとブルーベゼルを採用し、そこに映画で登場する重要な都市をすべて配した、新しいGMTワールドタイムウォッチだ。

内部には、ソプロード社製キャリバーをゾディアックがSTP7-20にアップグレードした、時・分・センターセコンド、日付表示を備えたコーラー(独立したGMT針)GMTを搭載する。ブラック文字盤にホワイトの24時間トラック、スーパールミノバ、文字盤にはローイングブレザーズのサインが入っており、5リンクのSSブレスレットが付いている。新しいゾディアックをつけて(ダン・エイクロイド演じる)ルイス・ウィンソープ3世のコスプレをしたければ、2195ドル(日本円で約31万9000円)かかる。彼が映画のなかで買った時計よりははるかに安いが、質屋で50ドルで買うよりかは高い。


我々の考え
恣意的であり知る人ぞ知る限定版ということで、これはこれでなかなかおもしろい。スーパーシーウルフGMTは、私のお気に入りの手頃なヴィンテージウォッチのひとつだが、ヴィンテージウォッチの堅牢性を心配していて、かつ新しくて信頼性が高くて楽しいものを求めているなら、ゾディアックとローイングブレザーズの新コラボ以上のものはないだろう。

実機を見たことがないので、新しいSTP7-20ムーブメントが使用中にどのような動きをするのかはわからない。自社製で(というよりゾディアックとSTPを所有するフォッシルグループとそのグループ内)、シリコンとアップグレードされたコンポーネントを追加することにより、強度の高いムーブメントを実現すると同時に、外部の業界プロバイダーに依存するサプライチェーンの問題を取り除くことができる。

それはそれでいいことだし、前モデルのスペックから少し価格が上がったことも正当化されるだろう。結局のところ、この時計は楽しさがすべてであり、私にとってはその条件を満たしている。さて、(映画のデューク兄弟のように)誰かジュースの先物取引をしたい人はいるだろうか?

基本情報
ブランド: ゾディアック×ローイングブレザー(Zodiac × Rowing Blazers)
モデル名: ワールドタイム GMT(World Time GMT)

直径: 40mm
厚さ: 13.6mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: ブラック
インデックス: アプライド、ワールドタイムベゼル
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 200m
ストラップ/ブレスレット: 5リンクのSS製ブレスレット、NATOストラップ付属


ムーブメント情報
キャリバー: STP7-20
機能: 時・分・センターセコンド、日付表示、コーラーGMT(独立GMT針)
パワーリザーブ: 約40時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26
クロノメーター: なし
追加情報: 1980年代のホットスポットの都市に入れ替えたローイングブレザーズのシグネチャーブルーのワールドタイムベゼル

価格 & 発売時期
価格: 2195ドル(日本円で約31万9000円)
発売時期: すぐに
限定: あり、世界限定282本

古い機械式時計の特徴は、ほかのものと一緒に販売されていたことだ。

世の中の販売には商品のほかに広告、付帯サービス、そして、フィルムをプリントしているあいだの待ち時間をつぶすキオスクのように、すでに廃れてしまったものの、さまざまな方法・サービスがあった。生き残っているブランドや製品は、多かれ少なかれ、また高価であろうとなかろうと、時計に対するウォルター・ミティ(自身を有能だと勘違いする)的アプローチとでも呼ぶべきものをサポートするためのサービスを提供していた。機械式時計には、実用的なニーズがないにもかかわらず、我々の“こうありたい”、“こう見られたい”というさまざまな空想を満たすために存在しているのだ。

クォーツ以前が黄金時代だったとは言わないが、1969年以前もそれと同じように、狡猾で、貪欲で、道徳に反する小売業者やいわくつきのブランドはたくさんあったが、平均的な時計所有者の実用的なニーズに対する確かな答えを、大した額にはならない程度の価格で提供することを意図した製品を大量に生産している会社もたくさん存在していた。そのような会社のひとつがシュパイデル(Speidel)社だった。1970年代にテレビを見ていた人は、同社のテレビコマーシャルを覚えているかもしれないが、彼らは有名人を宣伝マンとして起用し、刺激的で記憶に残るようなジングルを見つけるとよろこんで使っていた。そこにいるのは、フリッツ・ラング監督の『M』に登場する子どもを狙った連続殺人犯のハンス・ベッケルト役、あるいは『マルタの鷹(原題:The Maltese Falcon)』に登場するエレガントで反社会的なジョエル・カイロ役を務めたピーター・ローレだ。今、彼を時計ストラップの“破壊者”として見て欲しい。彼はツイスト・オー・フレックス(Twist-O-Flex)ブレスレットで勝負に出たのか? 詳しく見ていこう。

エクスパンションブレスレットはかつての時計製造の定番だった。オメガ 1039、そしてスピードマスターに初めて採用されたスティール製ブレスレットの7077と7912など、オメガ スピードマスターを手首につけておくための最初のソリューションのひとつがエクスパンションブレスレットだったのだ(イアン・フレミングはジェームズ・ボンドに、無名のメタルエクスパンションブレスレットを合わせたロレックスをつけさせたが、ジェームズ・ボンドがすべての決断を正当化してくれるのを待っていたら、我々は1日中ここにいることになる)。フルレングスのエクスパンションブレスレット(伸縮性のある部分はクラスプに近い数本のリンクにだけ採用している)ではないが、Twist-O-Flexブレスレットがそれに近いと思った。そのとき、実はシュパイデルがまだ運営しているのかどうか知らなかったことに気づいた。でも、彼らは営業していたのだ。

これはシュパイデル社製の230186WL エクスパンションブレスレットで、シュパイデルが1959年に提供を開始したTwist-O-Flexブレスレットに似ている。そのころには会社はかなり大きくなっていて、年間数百万ドルの売り上げがあったが、会社の創業はそれよりもっと前のことだった。フリードリッヒ・シュパイデルがドイツのプフォルツハイムで起業したのは、1867年のことである。その後、ロードアイランド州プロビデンスに拠点を移し、Twist-O-Flexだけでなくそのほかの多くのブレスレットや製品を製造し、一時はメンズフレグランスの製造にまで手を広げた(テキストロンの傘下に入っていた時期もあった)。

現在、同社は2009年に買収したチェルシーキャピタルコーポレーション(Cerce Capital LLC)が所有しており、現在もTwist-O-Flexブレスレットの製造と販売を続けている。オメガのブレスレットではないものの、スピードマスターにつけると非常にシャープに見え、1950年代のスピードマスターのデザインにもふさわしい。私の7インチ(約17.7cm)の手首に装着しているのだが、手を加えなくても本当に快適だし、バネ式のエンドピースが付いているため18mmから20mmのラグスペースへも装着できる。私はAmazonで12ドル弱(正確には11.95ドルという超低価格)で購入したのだが、今まで見たレトロウォッチオタクのキットのなかでは最高の部類に入る(編集注記:現在のAmazonでは約1万円、公式サイトだと30ドル前後で販売している)。

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タフで長持ちしそうだし、ぜひ試してみて欲しい(実際、チューダー ブラックベイにもう1本つけて様子を見てみるつもりだ)。これは単なるヒップスター(流行に従う人)の皮肉なウォッチアクセサリーではない。アメリカや時計製造の歴史に残る超クールなアイテムであり、12ドルという価格を出せば誰でもそれを自分の目で確かめることができるのだ。これは素晴らしい再発見であり(父はそれ以外のものにはほとんど時計をつけなかった)、時計アクセサリーとしては最高の価値提案である。