シチズンから ふたつの『エコ‧ドライブワン』限定モデル発売~

圧倒的に薄くそして美しい、ふたつの『エコ‧ドライブワン』限定モデル

わずか1mm厚のムーブメントを内包する『エコ・ドライブ ワン』から、クラシカルな配⾊とモダンなディテールを兼ね備えた ふたつの限定モデルが 12月4⽇(木)に発売されました。

 

 

❶クラシックでモダンなホワイトダイヤルのスーパーコピー時計特定店限定モデル
艶消し仕上げのホワイトダイヤルと艶やかな漆黒のスモールセコンドが織りなす、レトロなコントラスト。
ミニマルにまとめたゴールドカラーのインデックスと針が、クラシカルでエレガントな雰囲気。

 

 

【概要】
エコ‧ドライブワン
品番: AQ5010-01A
価格: 363,000円(税抜価格 330,000円)
世界限定:160本
特定店限定モデル:シチズンフラッグシップストア、シチズンプレミアムドアーズ、シチズンコンセプトショップでの販売


ケース:ステンレス(デュラテクトプラチナ)
・ケース径: 36.6mm /厚み: 4.5mm(設計値)
・裏ぶた:リミテッドエディションナンバー⼊
・⽇常生活用防⽔
バンド:ワニ⾰

 

 

 

❷アンバーイエローのクラシカルなケースに、ダークブルーの⽂字板をあわせた限定モデル
落ち着いた⾊合いの「アンバーイエロー」と、深く静かに沈むようなダークブルーの⽂字板が作り出す、ノスタルジックな雰囲気。

 

鏡⾯、艶消しと仕上げを使い分けた時分針は視認性が⾼く、上品な⾯持ち。


【概要】
エコ‧ドライブワン
品番: AQ5022-02L
価格: 363,000円(税抜価格 330,000円)
世界限定: 250本


ケース:ステンレス(デュラテクトアンバーイエロー)
・ケース径: 36.6mm/厚み: 4.5mm(設計値)
・⽇常生活用防⽔
バンド:ワニ⾰

 

 


【お問い合わせ】
シチズンお客様時計相談室
フリーダイヤル0120-78-4807
(受付時間9:30〜17:30祝⽇除く月〜⾦)

Hショップのヴィンテージウォッチスーパーコピー時計最新情報はここで手に入る。

5つの新しいヴィンテージウォッチが入荷した。以上、おわり。それではまた来週。まあ、実はまだ以前入荷したヴィンテージコレクションもしっかり残っている。新入荷のものから、以前から販売されているものまで、あなたの目に留まるものがあればうれしい。年始は時計ボックスを見直すのに最適な時期だ。もし、このページで気になるものがあれば、2023年にあなたのコレクションに加えたいヴィンテージウォッチを、遠慮なく教えて欲しい。

我々お気に入りの3本についての、逸話や個人的な見解、そして考察を読んでみて欲しい。

もしテーマがあるとすれば、今週のハイライトはバリューピックのカテゴリーに入るかもしれないが、あまり大きな声でいうと、時計のきまりが悪くなるかもしれないのでやめておこう。34mmケースのシンプルなオイスター パーペチュアル デイトは地味に見えるかもしれないが、リッチが語る例を見れば、なぜこの時計が見過ごせないロレックスであるかがわかるはずだ。サオリ・オオムラは、オメガのコンステレーションを紹介。この時計は、名前こそ目立たないものの、腕につけるとインパクトがある時計だ。最後に、オメガのスピードマスターが、少数だが熱心なファンに支えられている単なるカルトクラシックにとどまらない価値を持つ理由について、ショーン・イーガンの考察をお届け。

1970年代製 ロレックス オイスター パーペチュアル デイト Ref.1501

私はいつも小さな時計に引かれる。そう、私は比較的若い方で、“パネリスティ”のムーブメントに乗り遅れたのだ。もし興味がわいてたとしても、私の親友にはパネライ愛好家もいるので何の問題ない。大丈夫だ、断言しよう。44mm以上のものよりも、私は昔からずっと34mm以下のもののほうが快適に感じている。ラッキーなことに、このロレックスのRef.1501 オイスター パーペチュアル デイトはまさに34mmなのだ。世の中、本当におもしろい。

1970年代製 ロレックス オイスター パーペチュアル デイト Ref.1501
 真面目な話、このサイズと、このヴィンテージ感、そしてこのコンディションのものを自信をもって身につけるということは、それだけ真摯であるということなのだ。とはいえ、時計を身につけること、時計を楽しむことのすべてが、その時計を見た人がどう思うかに左右されるわけではない。あるコレクターにとっては、それが大きな関心事である一方、ほかのコレクターにとってはまったく重要ではないのだ。そんなことを気にする必要はなく、今回紹介する1501のような時計は、比較的地味なリファレンスの優れた例からしか得られない洗練さを存分に表現している。

1970年代製 ロレックス オイスター パーペチュアル デイト Ref.1501
 このヴィンテージOPは、控えめなデザインでありながら、手首の上で存在感を発揮する大きさだ。オイスターケースとブレスレットの輝きもさることながら、この時計は部屋のなかで注目を集めることはない。しかし、この時計が注目されるのは、よく吟味したときだ。もともとブラックだったダイヤルは、“トロピカル”な雰囲気に包まれ、その斑点は実に見事。さらに夜光塗料は、クリーミーなオフホワイトの色合いに変化している。繊細な変化を求めるなら、このヴィンテージウォッチがおすすめだ。詳細はこちらで確認して欲しい。
1952年製 オメガ コンステレーション Ref.2782-2SC

このような時計を見て、私はすぐに“あぁ、これだからいいヴィンテージ時計は好きなんだ”と思うのだ。現在、さまざまなコンステレーションが復刻されているが、どんなに頑張っても、現代の量産品では簡単には真似できない時計だ。ヴィンテージウォッチには、時間だけがもたらす不思議な魅力があるのだ。
 オメガの“コンステレーション”は、文字どおりダイヤルに星のモチーフを施した、ブランドの新しい輝きを放つモデルとして1952年に登場した。このコレクションはラグジュアリーなカテゴリーとして位置づけられ、ときには18Kイエローゴールドのケースやブレスレットで提供されることもしばしばあった。コンセプトは、外観はエレガントな美しさを持ち、内部には評価の高いクロノメータームーブメントを搭載することだった。ケースバックにはキュー天文台のエングレービングが施され、天文台へのオマージュと搭載するムーブメントの品質の高さを示している。第2次世界大戦の終結から7年後、社会はよりよい、より明るい未来を受け入れる準備が整っていたのだ。

1952年製 オメガ コンステレーション Ref.2782-2SC
 この時計をどう見るかにもよるが、このコンステレーションはやや装飾過多のようにも見えるが、私はそれほどでもないと思う。この時計をおもしろくするのに十分な個性がありながら、過剰な演出はしていないといえよう。まず、スタイリッシュな細長いラグが、腕の上でこの時計に存在感を与えている。
 そして、ダイヤルの話をしよう。私はヴィンテージのブラックダイヤルが好きだが、このダイヤルはまさしくその条件を満たしている。現代の時計ではなかなか再現できないからこそ、現代の時計にはない柔らかな質感があるのだ。このような特別な存在になるためには、時間を経なければならない。ややドーム型のスタイルは、ミニッツマーカーをダイヤルの高い位置に意図的に配置することで、時計にさらなる奥行きを与えている。太いアプライドマーカーから12時位置のオメガロゴまで、ゴールドトーンのディテールが見事に熟成され、さまざまな色合いのゴールドがヴィンテージブラックダイヤルに映える。そして、これらの要素すべてをまとめているのが、ギフトボックスの上を飾るゴールドのリボンのようなクロスヘアモチーフだ。

1952年製 オメガ コンステレーション Ref.2782-2SC
 今も昔も私のように、現代の時計が持つカッチリとした正確さが好きな人もいるだろう。しかし、ヴィンテージウォッチには、時を経て個性的になっていくからこそ、得られる説得力がある。私にとっては、“全体は部分の総和に勝る”ということなのだ。この時計は、温かみがあって、魅力的で、多少の不完全さがあっても、少し人間味があるように感じられる。人によっては、ただの古い時計に見えるかもしれないが、本当にヴィンテージウォッチが好きな人なら、直感的に感じられるはずだ。そんなわけで、このシンプルなオメガのコンステレーションを今週の1本に選んだ。
1990年代製 オメガ スピードマスター リデュースド シューマッハ カートエディション Ref.3510.80.00

ミハエル・シューマッハといえば、多くの時計がその名を刻んでいる。彼は長年ステアリングを握り続けた、伝説的なレーシングカードライバーのひとりであるのだから当然だ。そのため、“シューマッハ”と呼ばれるスピードマスター リデュースドケースを持った腕時計の数々をリストアップすることができるほどだ。多くの人がオメガのレーシングウォッチというスタイルを知るきっかけになったのも彼のおかげで、彼には計り知れないくらいの魅力があることを知っている。1988年に発売されたこのモデルは、96年にフェラーリチームでの彼の功績を称えたもので、彼の名前を持った赤と黄色の2色の限定モデルが発売されるまで、最優秀レーサーとのつながりを持つことはなかった。そしてこの年、3本目のカラフルなスピードマスターも発表された。ブルーダイヤルの6時位置にCARTのレーシングロゴを配した、オメガ スピードマスター オートマティック カートレーシングだ。この3本は、すべて同時期に同じイベントで、ミハエル・シューマッハのカートレース場で発表された。赤と黄色のモデルはブランドによってミハエル・シューマッハのものであるとされているが、青のモデルをシューマッハのスピードマスターと呼ぶブランドからの公式情報は見当たらない。

1990年代製 オメガ スピードマスター リデュースド シューマッハ カートエディション Ref.3510.80.00
 この時計にまつわるレースの歴史は、まだまだある。2016年にさかのぼるが、我々はこの時計のあるセール情報をこの記事で取り上げた。 1997年のクリスマスにポール・ニューマン、そう、あのポール・ニューマンが、彼とカール・ハースのレーシングチームに贈るために、この時計を大量に注文したことが判明したのだ。贈られた時計には、すべてチーム名と年号が刻印されていた。この時計が何本注文されたかは確認されていないが、いずれは入荷する可能性もあるので、注目しておいて欲しい。本品はそのような実績のあるものではないが、非常によく似たものをこちらで見ることができる。

1990年代製 オメガ スピードマスター リデュースド シューマッハ カートエディション Ref.3510.80.00
ご質問はメール、またはコメントでお寄せください。

タグ・ホイヤーとヴァルカンが発表したそれぞれのアーカイブにインスピレーションを得た作品など、

5つの“新しい”ヴィンテージウォッチのうち、今回はヴィンテージチームが選んだものを紹介しよう。リッチ・フォードンにサオリ・オオムラ、ショーン・イーガンがそれぞれ、深紅の文字盤を持つ1980年代製のカルティエ サントス、ブライトリング スーパーオーシャン、そしてファンキーなサーチナ レガッタタイマーの全貌をレポートする。

1980年代製 カルティエ サントス ガルベ Ref.2961
 つい最近まで、ヴィンテージ カルティエ界隈には変わったルールがあった。古くからのコレクターにとって“真の”ヴィンテージ カルティエとは、今回紹介する80年代のサントスのようなモデルではなかったのだ。1970年代初頭以前のモデルを指し、特にカルティエ ロンドンから発売された腕時計こそが脚光を浴びていた。確かにこの時期、カルティエはロンドン、パリ、ニューヨークの3店舗で腕時計を展開していた。しかしその結果として、コレクションとしてのユニークさはそれ以前のペブル、サントレ、クラッシュよりも増したのではないかと私は考えている。

1980年代製 カルティエ サントス ガルベ Ref.2961
サントスほど、カルティエにとって歴史的に重要なモデルはない(それこそ、タンクですらサントスには及ばない)。1904年に誕生したサントス-デュモンは、1911年にアルベルト・サントス=デュモン以外の顧客からも要望があったことから初めて量産、シリーズ化された腕時計として公式に認められている。その6年後か8年後か、人によって違うかもしれないが、1919年に最初のタンクが“発表”されたということになっている。サントスが作られた年にかかわらず、同モデルは歴史的な時計である。この事実は、どんなに鼻持ちならないヴィンテージコレクターでも否定できないだろう。
カルティエ サントス ガルベ Ref.2961は名実ともに、入手困難な時計でもなければ、私にとって本当に興味深いモデルでもない。もちろん、カルティエのなかでもお買い得なモデルを探しているなら、ツートンカラーの80年代製サントスは悪くない選択だ。しかし正直なところ、私たちの耳を驚かせるようなものでもないだろう。このサントスを特別な存在としているのは、ご覧のとおりの赤い文字盤だ。確かではないが、この文字盤と針の組み合わせは1979年のサントス誕生75周年を記念して発売されたものだという記述が見られる。しかしアニバーサリーウォッチであろうとなかろうと、ラッカー仕上げの深いバーガンディカラーダイヤルはメタルケースに映える実に見事な仕上がりだ。

1980年代製 カルティエ サントス ガルベ Ref.2961
ケースの堅牢さに加え、文字盤と針にいたるまで完璧な仕上げが施されており、このサントスのコンディションは本当に素晴らしい。そして何より、この時計はHODINKEEの時計職人によって完全に整備されている。HODINKEE Shopで確認して欲しい。
1966年製 ブライトリング スーパーオーシャン Ref.2005
By Saori Omura
ブライトリングは1940年代にクロノマットシリーズで、その後1950年代には今や象徴的な存在となっているナビタイマーで空を制した。そしてナビタイマーの発表と並行し、ブライトリングはもうひとつの大きなテーマである“海”に飛び込んだのだ。1950年代にはさまざまな時計メーカーがダイバーズウォッチ市場に参入し、急激な盛り上がりを見せ始めた。もちろん、それにはロレックス サブマリーナー、オメガ シーマスター、ブランパン フィフティ ファゾムス、ジャガー・ルクルト ディープシー アラームなどのビッグネームが含まれる。また、EPSA(エルヴィン・ピケレス S.A.)社が開発した防水ケースの改良により、エニカなど多くの中小時計メーカーがその恩恵を受けるようになった。この波に乗り、ブライトリングは1957年に初のオフィシャルダイバーズウォッチ、スーパーオーシャン(クロノグラフのRef.807と時間表示のみのRef.1004)を製造した。

1966年製 ブライトリング スーパーオーシャン Ref.2005
スーパーオーシャンの魅力は、200m /600ft防水の本格的なダイバーズウォッチであることにとどまらない。同モデルは、当時の市場に溢れ始めたほかのダイバーズウォッチと一線を画する鋭いデザインセンスを誇っていた。クールでありながら、同時に機能的。大げさなインデックスや針などのデザインからは、どこかユーモラスさも感じられるようだ。夜光は水中での視認性を高めるだけでなく、大振りなインデックス上に配することで、黒い文字盤のなかでその存在感を際立てている。
今日紹介するRef.2005は1964年に発表されたもので、先代のRef.807の自動巻きバージョンとなる。42mm前後のSS製ケースに収められた、大きくも大胆なモデルだ。黒と白を基調とした印象的なデザインと、クリームカラーに変色したパティーナが、遠くからも目を引く。最も興味深いのは“スローモーション"クロノグラフ針だ。パッと見ただけでは、先端に大きな四角い夜光を持つ普通のクロノグラフ針にしか思えない。しかし、ひとたびクロノグラフをスタートさせると、すぐに何かがおかしいことに気がつくだろう。実はこの針、60秒ではなく60分で1周する“スロー”クロノグラフ針なのである。これにより、ダイバーは水中での経過時間を簡単に読み取ることができる。しかし、この一見素晴らしいアイデアには注意点もあった。動きがゆっくりであるため、クロノグラフ針が動いているかどうかを判断しにくかったのだ。この問題を解決するべく、ブライトリングは6時位置に窓を追加した。黄色の丸印はクロノグラフが作動中、黄色の半丸印はクロノグラフが一時停止中、黒色の丸印はクロノグラフが解除されていることを意味する。

1966年製 ブライトリング スーパーオーシャン Ref.2005
この時計が水中で最高のパフォーマンスを発揮できるように設計され、何度もテストされたうえで、本格的なダイバーズウォッチとして発売されたことは間違いない。しかし、私がこの時計でいちばん気に入っているのは、頑丈なツールウォッチとされつつも、同時にエレガントで文句のつけようがない魅力を放っている点だ。探検にでも出かけるように、私たちは常に万全の準備を心がけたいもの(あるいはそうすべき)だが、そのときこの時計を巻かない理由はないだろう。このブライトリングは、ここで手に入れよう。
1970年代製 サーチナ クロノリンピック Ref.8701-504
By Sean Egan
サーチナには長く興味深い歴史があり、私の友人で元ルームメイトのローガン・ベイカーがそのすべてをここで見事に解説してくれている。この驚愕の物語を持つブランドについてもっと知りたければ草の根を分けるように掘り下げることもできるし、それは私たちHODINKEEが、まさにしようとしていることだ。今回取り上げるのは、このブランドのクロノグラフシリーズであるクロノリンピックだ。60年代後半に初出となったクロノリンピックは手巻きキャリバーを搭載しており、70年代後半には自動巻きに電池式、そしてデジタルモジュールへと移行していった。クロノリンピック登場初期、サーチナは2回のエベレスト遠征にいくつかのモデルを同行させており、これはハンス・ウィルスドルフのやり方を模倣したようにも見えた。模倣かどうかはさておき、サーチナはクロノリンピックの提供者は間違えなかったようだ。提供者のひとり、3レジスターの逆パンダモデルを受け取った彼の名は三浦雄一郎という。この冒険家は世界一高い山に登っただけでなく、スキーで下山することを決意し、2000mを2分30秒で滑り抜けたという。彼ならもっと先まで行くことができただろうが、途中、氷の塊にぶつかって転倒してしまった。報道では彼のサーチナのは助かったということだが、私はその時計自体を見たことがない(この遠征についてもっと知りたいなら、アカデミー賞受賞のドキュメンタリー映画『エベレストを滑った男(原題:The Man Who Skied Down Everest)』を見て欲しい)。

1970年代製 サーチナ クロノリンピック Ref.8701-504
今日紹介する時計は世界一高い山を滑り降りた時計ほど単純ではないが、それを気にする必要はないだろう。実は、これは私がこれまで見たなかで最も好きな文字盤のひとつだ。70年代的な色使いと放射状のインデックスを見ると、ボートに乗って『Brandy(You're a Fine Girl)』が聴きたくなる。このグルーヴィーかつグーフィー(ベタベタ)な文字盤は特大のSSケースに収められており、中央にはクロノグラフの分・秒表示を備えたバルジュー Cal.728を搭載。1971年に発表されたこのモデルは、1972年のミュンヘンオリンピックに向けて作られたもののようだ。同スポーツイベントとの公式な関連はないものの、イベントを取り巻く熱気に乗じようとしたのだろうと想像される。文字盤上で5分、10分、15分を強調していることについては、レガッタレース用と考えれば適切なデザインだ。この時計にまつわる私の仮説につけ加えるならば、その年には6つの異なるヨットレースが開催されており、いずれもかなり変わったネーミングだった(少し眉唾だが、ドラゴンミックスはその一例だ)。この時計は、登山時の記録、レース前の計測、レコードを鑑賞するときなど、シーンを問わず活躍してくれる。ぜひチェックして欲しい。

 

ブルガリのオクト フィニッシモ クロノグラフ GMT、非常に気に入っている時計の1本だ。

このモデルを最近借りた。この時計を身につけることができて本当にラッキーだった。だから返すときは(送り出すときは盛大にしたいから)、マーチングバンドと会葬者を呼んで、あと郵便局にも来てもらおうと思っている。
 この時計を俯瞰で眺めていると、実にさまざまな形が見えてくる。八角形のフレームの上に、丸いベゼルがある。そしてケース自体は八角形だが、四角い台座のなかに組み込まれているようだ。そのため角型の時計として手首に収まるはずなのだが、角型時計ではない。薄くて緻密なレイヤーで構成された四角い台座の上に、八角形の時計が乗っているのだ。

 スイス製の時計であるが、この時計の薄いレイヤー部分は、このブランドの故郷であるイタリアの伝統菓子、スフォリアテッラ・リッチャを少し連想させる。
 ラグとプッシャーがケースに内蔵されており、正確には違うのだが、まるで図書館の本棚が動いて隠し部屋が現れるような、そんな精神的に近いものがある。文字盤にある唯一の数字である12が大きく配され、シンプルなバータイプによって影響を受け、少し迫ってくるような感じがする。このフォントの名前は調べても出てこなかったため、タイポグラフィーに詳しいあなた方で、コメント欄で真っ先にフォントを特定するレースに、自由に参加してみて欲しい。
 またインダイヤルは3つある。これはどんな役割を持つものなのか? このユーザーは勇気を出して調べてみたが、詳細は後ほど。
 この時計のいちばんの特徴は、見た人の半数が嫌がり、また残りの半数がつけてくれといいながら、大きなため息をついて外そうとしないことである。ふたつ目にいい点は、多くのことをこの1本に加えているにもかかわらず、とても合理的であるということだ。これは見ていてとても落ち着く。デザインのすべての要素がうまく調和しているため、その効果は完璧なほど控えめだ。
 このあいだもカルティエの「タンク」やロレックス デイトジャストなど、クラシックな腕時計をいくつか身につけた。しかし、これらの時計のどれかがブルガリより好きだとか、ブルガリより以前に身につけたモデルが好きだということはない。しかし、それらの時計はそのシンプルさゆえにクラシカルであり、オクト フィニッシモ(そして多くの同族を含む)は、クラシックでありながら革新的で、同時に少しユニークさも存在していると認めざるを得ない。オクト フィニッシモはほかとは違うが、単に突飛なだけではないということを教えてくれる時計なのである。どれだけバカでもおもしろくなれる。ずっと前からあったかのような、そして今後も残るように新しいものをつくるには、もっと多くの時間が必要だ。



 この時計を身につけると、「タンク」やデイトジャストのような圧倒的なフォーマルさを感じるとともに、大胆さや別格感も覚える。そしてこの時計(そして今、特にこの時計の話に戻るが)を見ると、家庭的ではなく、もっと自由に堂々と振舞いたいと思わせてくれる。記憶からではなくレシピから複雑な料理を作りたくなり、古道具屋で手に入れたサイドテーブルをアンナ・カステッリ・フェリエーリの赤い円筒形のキャビネットに変えて、さらにスーパーに行くときはダンスコの木靴ではなくヒールを履く。ご存じのように、私は明るくてきらびやかな時計が好きだが、この時計は打って変わって非常に地味だ。もしあなたが、口数は少ないほうがいいとか、あるいは考えてから話すほうがいいと思うような人物だったら、この時計は持っていて損はない。この時計の文字盤を見ると、重厚な雰囲気を醸し出したいという衝動に駆られるのである。
 RM UP-01のHands-On記事を執筆する機会を得てから、私は数カ月ものあいだ、ブルガリ オクト フィニッシモコレクションに夢中になっていた。そのクレジットカードのような形をした不思議な時計は、厚さ1.75mmしかなく、現在、世界で最も薄い時計の地位に君臨している。オクト フィニッシモよりはるかに高価で美しくないが、どれも決してこけにしているわけではない。RM UP-01も私のことを気にしていないことだろう。これは最も薄くするためのものであり、最も美しくあるためのものではないからだ。
 その記録保持者とのランデブーに備え、私はブルガリのオクト フィニッシモ ウルトラの記事を読んでみた。この時計はリシャール・ミルがその栄冠を勝ち取るまでのわずか数カ月間、厚さ1.8mmという世界最薄の時計として君臨していたモデルである。
 “私の”ブルガリはもちろん、ウルトラではない。チタン製のケースとバックル、ブラックオパーリンの文字盤、それに合わせたブラックラバーストラップは、完全にマットな質感を備えていて、哀願するような輝きやきらめきさえもない。さらに本来の金属であることは一瞬忘れて、その厚みが丸々と肥えた6.9mmであることも謝罪しよう。ただ申し訳ないが、GMTの演出と複雑機構を搭載しており、そういうややこしい事情もあって(ただ我々はきっと成し遂げられるだろう)ある程度のスペースが必要なのだ。だがそれでも世界最薄の自動巻きクロノグラフ時計のムーブメントであることに変わりはないため、それほどでもないだろう。

 
 このムーブメントは、自動巻きクロノグラフのムーブメントとしては最小サイズではないことを、注目している人たちのために伝えておこう。この栄誉はピゲの1185に与えられる。ピゲの1185は薄くはないかもしれないが、より小さい時計に搭載されている。
 2022年の秋頃、そう、あのリシャール・ミルを理解するために、薄型時計について読み始めたときまで、私はまったく知らなかった。薄いことがどういうことなのか、意味がわからなかったのだ。“チキンピカタを作ろう、パンパンパン、ほら出来上がり”というように、薄い時計をつくろうと決めるだけだと思っていた。薄型というのは、見た目に関するスタイルであって、時計そのもののスタイルではないと思っていたのだ。
 私は、ジャン・アントワーヌ・レピーヌ(Jean-Antoine Lépine)が人生の大半を費やして、部品を1カ所に集めて時計を薄くすることに挑戦していたとは知らなかった。垂下ブリッジと非垂下ブリッジのことも、またローター(自動巻きの時計が機能する部分)が場所を取るからRM UP-01ではローターに代わって小さな独自の巻き上げシステムを採用したことも、何もかもだ。ジュエリーを主に製造していたブルガリの人たちが、どのようにして時計をつくり始めたのか、そしてこれが得意だということをアピールする必要があったということを、私は初めて聞いた。というのも、小さいものがさらに小さくなることに胸躍る時計の世界において、薄さというものは世界に対するメッセージでもあるからだ。つまり「我々はルックスが素晴らしいだけでなく、あらゆることにおいても優れている。そうでなければ、こんなにいい時計にはならない」ということだ。
 オクト フィニッシモの製造に関するビデオを見たが、ナレーターがこの時計の世界を“ミニチュアの世界”と言っていた。
 これはどういうことかというと以下のとおりである。超薄型時計が超薄型足る主な理由は、ほかの時計と比べて純粋に部品が小さくて薄い(ただ強度も必要なためそう単純にはいかない)からだ。以前、時計の小歯車を見たことがあるのだが、それはてんとう虫ほどの大きさだった。ただしオクト フィニッシモの小歯車はさらに小さくアリくらいの大きさしかない。加えて一般的な時計は、地板やブリッジが薄い。そしてこの時計は、それよりもさらに薄い。この時計は、失礼…、シニッシモ(非常に薄い)なのだ。

 ローターをムーブメントの外周に配置し、真ん中の厚みをもたせないように配慮している。シースルーバックからこのムーブメントのローターを見ることができるのだが、裏蓋からムーブメントの一部を見てこう思ったのは初めてだ。「なぜその部分がそこにあるのか、何をするのかもわかる」と。
 ムーブメント(Cal.BVL 18)の見え方からわかる、“時計の在り方”についてもう少し考察してみたい。
 考察その1:2時位置のプッシャーを押すと、ムーブメントの左下にある小さな歯車が、反時計回りに6分ごとに1回転ほど移動する。
 よしこれだ! と思ったのが私の見立てだ。それしか見極められなかった。私が書く時計の話にはたいてい恥ずかしい部分があるが、今回はいま、その部分に突入した。
 1カ月ほどこの時計を持っていたが、“この時計はどうなっているのだろう”と思っていた私は、この3つのインダイヤルがどのようなもので、どのように機能するか理解するのにとても(操作することを考えると)うろたえてしまったため、HODINKEE Shopで活躍するマーク・ハックマンに連絡を取って、我々のどちらかが認めるよりも長いあいだ彼とバディを組んでいた。
 マークはブルガリを除く、豊富な時計をコレクションしている。我々はふたりだけのSlackチャンネルでブルガリの時計について、またどれだけブルガリの時計が欲しいかという話をずっとしていた。ただこの話をSlack上で何度もしているうちに、その気持ちがだんだんと強くなってきた。そのためそれに誘われるまま、長いあいだこれを身につけることになったのだ。
 我々のブランドに対する共通の思いから、マークはまず、この時計の前身であるジェラルド・ジェンタがデザインした1980年代のオクト・バイレトロを見せてくれた。レトログラード式の分表示とジャンピングアワーを搭載し、同じ彫刻のようなケースを採用している。この経緯を不思議に思っている方のためにいうと、ブルガリは2000年にジェンタの会社を吸収し、2014年に最初のオクト フィニッシモをデビューさせたのだ。
 その時計は本当にかっこいいけれど、この時計ほどではないねとマークと意見が一致した。
 そして、これまでずっと先延ばしにしてきたインダイヤルの調査に取り掛かった。ラバーストラップの質感を生かしたその腕時計を手に取ってみる。
 このインダイヤルのどれが何なのか、何をするのかがわからないと私は伝えた。
 マークがインダイヤルについて解説した方法はまさに天才的だった。彼は本当に私を助けてくれた。
 まずは3時位置のインダイヤルから。これは24時間表示だった。まず最初に必要なのは同期すること。当時は正午で、GMTの文字盤は4時を指していた。
 リューズを引き出して回すと、文字盤の時刻とGMTの時刻のすべての針が動いたが、9時位置のプッシャーを押して操作すると、文字盤の時間だけが動くことを知った。私は今旅行中ではないため、まずはそれらを同じ時間に合わせることから始めようと思う。9時位置のプッシャーを使って時針を動かすと、いとも簡単に操作ができた。ボタンを押すのが楽しくて、すべてがスムーズで手間もかからず、不思議な感覚に陥った。

 そして正しい時刻に戻すためにリューズを回す。さらにニューヨークへ飛んでいるふりをして、飛行機を着陸させた。午後1時から4時までの時間をクリックした。
 この瞬間まで、GMTの時計を使ったことがなかった。私の立場は基本的にこうだ。“うまく機能することを信じている、それでいい”と。この複雑な機能を使いこなせたことは、とても小さな成果だと思うかもしれないが、これを習得するのは不可能だと思っていたのに、むしろ3分ほどで終わってしまったことを考えると、効率のよさと大きな力を手に入れたと感じた。
 この感動は、前述したマークがインダイヤルの操作の順番を見事に正しく選んでくれたおかげだ。「9時位置のインダイヤルを見直そう」と彼が言うので私はそうした。「これは秒だ」。すごい。ほかのふたつのインダイヤルに圧倒されていて、この文字盤がいかに自分でもノーマークだったのか、気がつかなかった。
 我々は最初に、いちばんの難関を克服していた。ふたつ目のインダイヤルは考える必要がない。そして最後のひとつはクロノグラフだけで、それはあまり難しいものではなかった。
 これを実現するためには、4時位置のプッシャーで秒針とクロノグラフ秒針を上部にリセットする必要がある。2時位置のプッシャーを押すと針が動き出し、再度同じプッシャーを押してそれを止める。これにより、ダイヤルの6時位置に30分が設定された。マークになぜこのタイマーは30分なのか、なぜ1時間ではないのか。その方が便利ではないだろうか? と聞くと、そうしないと、歯車が大きくなりすぎるから。ただ30分というのは、何かをしているかどうかを知るには、ちょうどいい時間だと思わないかと言った。犬の散歩をしたり、冷凍ラザニアを温めたりなど。

 複雑さを感じさせないことで、時計との関係性がどう変わるのか興味がある。正直なところ、これまで私は複雑機構を持つ時計、特にボタンを押すような時計は疑わしいものとしてみてきた。恥ずかしながら覚えているのだが、以前、オーレル・バックスに「なぜ時計にクロノグラフが必要なのかわからない。バカげているね」と言った。そうしたら彼に「それなら時計は必要ないだろう」といわれ、私は「いいこというね」と答えた。現金しか使えないお店で、デビットカードで昼食代を払おうとした直前のことだったと思う。
 何を伝えたいかというと、時計を好きになるのであればクロノグラフにもハマるということも考えておかなければいけないということだ。これはとても重要なことだと思う。特に今はエル・プリメロに引かれるものがあるため、まずスタート地点に立つというのはどうだろう? 私はデイトナが好きだと思うが、どうやらそれは遊びすぎだと思う人もいるようで、そういう人はあまり気にしないほうがいいかもしれない。今の自分にとっては、この洗練された美しさから始めてよかったと思う。この時計は、複雑すぎるのは苦手だけどヒールを履いてスーパーに行くのは大丈夫かもと、準備ができている人のための複雑時計なのだ。

関連商品:https://www.hicopy.jp/brand-copy-IP-18.html

ショパール マニュファクチュール設立30周年を祝して発表。

ショパール「L.U.C グランド ストライク - The Sound of Eternity 」、メゾン史上最も複雑なチャイム機構を搭載したタイムピース~

L.U.C グランド ストライク - The Sound of Eternity~フルリエに拠点を置くショパール マニュファクチュール設立30周年を祝し、メゾン史上最も複雑なチャイム機構を搭載したタイムピースを発表


ショパール マニュファクチュールから、卓越した機械式時計のマスターピース「L.U.C グランド ストライク」が誕生しました。スイスのウォッチメーカーであるショパールが、開発・設計から製造に至るまで、すべての生産工程を自社内で手がけたこのタイムピースは、グランソヌリ、プチソヌリ、ミニッツリピーターを備え、長年にわたって培ってきた機械技術の粋を結集したサファイアクリスタル製ゴングによるチャイム機構を搭載しています。

 

「L.U.C グランド ストライク」は、ショパール共同社長のカール‐フリードリッヒ・ショイフレが主導してきた、数十年にわたるソヌリ開発の集大成として結実したクリエイションです。

11,000時間以上におよぶ集中的な研究・開発の成果として誕生した「L.U.C グランド ストライク」は、ショパール マニュファクチュール史上最も複雑なタイムピースであり、新たに開発された5件を含む、計10件の独自技術特許を有しています。その性能は、厳格な社内テストに加え、ジュネーブ・シールおよびCOSC(スイス公式クロノメーター検定局)による認定によって証明されており、同タイムピースは現代のハイコンプリケーションにおいても、最も総合的な評価が高いグランソヌリであることが公式に認められています。

このタイムピースのデザインは伝統的なフォルムと現代的な美学を融合させ、洗練された控えめな曲線を描きながら、文字盤を排した構造によって、686の部品からなるキャリバー「L.U.C 08.03-L」がケースの中で時を刻む優美な姿を披露しています。

「ショパールは、いつの日かグランソヌリを完成させることを常に目標としてきました。『L.U.C グランド ストライク』を一目見れば、30年間にわたってファインウォッチメイキングの分野で創造と革新を重ねてきた、その集大成を見て取ることができるでしょう。チャイムの音色に耳を傾ければ、ショパール マニュファクチュールに息づくオートオルロジュリーのリズムが聞こえてくるでしょう。そして、その響きに心を動かされるならば、それは私たちのウォッチメイキングのスピリットとあなたの感性が共鳴しているからに他なりません」
カール‐フリードリッヒ・ショイフレ


30年間にわたるイノベーションの集大成
「L.U.C グランド ストライク」は、ショパール マニュファクチュールにおける約20年におよぶソヌリ開発のノウハウと、10年におよぶサファイアクリスタルのモノブロック技術の蓄積を礎とし、合計686のムーブメント部品で構成されるマニュファクチュール史上最も複雑なタイムピースです。このプロジェクトには、初期段階の試行的な研究や技術設計、実用的なプロトタイプの製作に至るまで、11,000時間以上も費やされました。そのうち2,500時間以上はプロトタイプの微調整に充てられ、最終製品がマイクロメカニカルな完成度の極致にまで達するべく、手が尽くされました。

 

直径43mmという極めてコンパクトな18Kエシカルホワイトゴールド製ケースに収められた高精度のキャリバー「L.U.C 08.03-L」が、完全なオープンワークの文字盤からその全体像を現します。ケースデザインの控えめで端正な曲線とプロポーションにより、視線はムーブメントへと導かれ、その繊細なメカニズムを余すところなく堪能することができます。10時位置には、ポリッシュ仕上げのふたつのスティール製ハンマーが配され、このタイムピースがチャイミング機構を備えていることを明確に示しています。巻き上げおよび時刻設定用のリューズの隣には、エルゴノミックなデザインのスライド式セレクターが設けられ、グランソヌリ(G)、プチソヌリ(P)、サイレント(S)の3つのソヌリモードを切り替えることができます。

文字盤の下半部には60秒トゥールビヨンが配され、COSC認定ムーブメントの性能を視覚的に体現しています。トゥールビヨンの絶え間ない回転と、チャイミング機構の巧みな動作によって、「L.U.C グランド ストライク」は、身に着ける人がそれを眺めるたびに機械式時計の驚異を存分に体感できる魅惑的なクリエイションです。

 

ショパールの時計製造における卓越性と革新性を象徴する特許取得のサファイアクリスタル製ゴングは、文字盤と一体のモノブロック構造で機械加工されています。ウォッチメイキングの歴史において前例のない素材であるサファイアクリスタルを用いたこの独自の構造こそが、「L.U.C グランド ストライク」に比類なき音響特性をもたらしています。

 

サファイアクリスタル製ゴングに加え、「L.U.C グランド ストライク」の製作には、出願中および/または取得済の特許がさらに9件採用され、ショパール マニュファクチュールの革新的なスピリットを改めて証明しています。これらの特許は、ムーブメントを偶発的な誤操作から保護する重要なセキュリティー機構から、チャイミングのテンポを最適化する改良まで、「L.U.C グランド ストライク」のあらゆる機能面を網羅しています。そのうちの5件については、このタイムピースのために新たに申請された特許であり、メゾンの核となる“革新に支えられた技術力”のたゆまぬ進化を象徴しています。


「L.U.C グランド ストライク」は長年にわたる開発の過程において、技術的側面と美的側面の両立を念頭に、両者を完全に調和させることを目指して構想されました。最終的に完成したクリエイションはその理念の結実であり、オートオルロジュリーの卓越性と洗練を尽くした優美なデザインとが見事に融合を遂げています。


音のレガシーを紡ぐ
新世紀の幕開けとともに、ショパール共同社長カール‐フリードリッヒ・ショイフレは、マニュファクチュールをチャイミングウォッチの領域へと導く最初の一歩を踏み出しました。それは、「L.U.C グランド ストライク」がショパールの“一部”となることを運命づける始まりでもありました。2006年の「L.U.C ストライク ワン」の発表からわずか1年後、彼はメゾンの研究・開発チームとショパール独自のグランソヌリムーブメント開発の可能性についての議論を開始しました。

「L.U.C グランド ストライク」のような時計製造の金字塔となるクリエイションを生み出すための技術を習得することは、それ自体が壮大な挑戦でした。しかし、ショパールにとって重要だったのは、単に専門知識を習得することだけではなく、それを超えた“真の熟練技”――完璧な技術の実現に留まらず、真の意味での“革新”へと歩を進めること――それこそがメゾンが目指す到達点だったのです。

 

「L.U.C グランド ストライク」の源流は、伝統的な複雑機構を備えた「L.U.C オール イン ワン」(2010年)から、複数の特許を有する「L.U.C 8HF」(2012年)にまで遡ることができます。これらのクリエイションは、真のクラシシズムから妥協を許さない最先端の現代的アプローチに至るまで、時計製造におけるあらゆる領域を網羅するショパール マニュファクチュールの多面的な創造性と柔軟性を体現しています。

キャリバー「L.U.C 08.03-L」を構成する精微な機構の一つひとつが、機械式時計製造のあらゆる側面に精通した深い理解のもとに設計されています。すべてのソヌリウォッチの基盤となるマルチバレル(多重重箱)構造は、4つの香箱を備えた「L.U.C クアトロ」をはじめとする、卓越した動力分配システムを有する名機の開発を通じて培われた知見によってさらに進化を遂げています。また、「L.U.C グランド ストライク」の60秒トゥールビヨンは、L.U.C 02系のトゥールビヨンムーブメント開発で蓄積された自社の経験に基づき、極めて厳格な制度基準を実現しています。さらに、時計製造において標準とされるソヌリ機構の瞬時起動においても、「L.U.C ルナ ワン」のようなジャンピング表示を備えた複雑なカレンダーの開発から得られた知見を活かし、より洗練された完成度へと磨き上げられています。

 

2016年、ミニッツリピーター「L.U.C フル ストライク」は、完璧なチャイム音の追究というマニュファクチュールのコミットメントをさらに明確に示しました。それは単にショパールのソヌリ技術革新を際立たせただけでなく、オートオルロジュリー業界における新たな知見をもたらす革命的出来事でもありました。「L.U.C フル ストライク」は、チャイミングウォッチ史上初めて、スティールではなくサファイアクリスタル製ゴングによって、時、15分、分を打ち鳴らすことに成功しました。

サファイアクリスタル(単結晶酸化アルミニウム)の音響特性は以前からよく知られていましたが、繊細な素材の性質ゆえ、時計業界ではサファイアクリスタル製のゴングの実用化は不可能とされ、それを試すことすら困難であるという共通認識がありました。その常識を覆し、誰も成し遂げたことのなかった領域に踏み込み、成功を収めたのがショパール マニュファクチュールだったのです。

「L.U.C フル ストライク」は、不可能を可能にしたモデルとして知られるようになり、2017年のジュネーブ時計グランプリ(GPHG)においてその偉業は認められ、最高賞である「金の針賞(Aiguille d’Or)」の栄誉に浴しています。


キャリバー「L.U.C 08.03-L」:複雑機構と特許技術の集大成
今日、ショパールはソヌリ機構の“旅”に新たな章を刻みます。「L.U.C グランド ストライク」の誕生です。このタイムピースは、チャイミング機構の中でも最も格調高いグランソヌリを搭載し、時・15分・分ごとに正確に時を知らせます。

また、チャイム音の少ないプチソヌリモードに切り替え、1時間ごとに時を、その後は15分ごとに時を知らせることができます。「L.U.C グランド ストライク」の自動チャイムは、必要に応じて完全に停止させることもでき、その際はミニッツリピーター機能を手動で作動させた場合にのみ時刻を打ち鳴らします。

 

手動(ミニッツリピーター)または自動(グランソヌリ/プチソヌリ)でチャイムを作動させるたびに、34の部品が一斉に動き出し、正確かつ明瞭に時刻を告げます。これらの部品は、手作業による調整が施された板ばね(ブレードスプリング)によって制御され、待機状態から作動可能な状態に移るまでにかかる時間はわずか0.03秒です。これらのメカニズムは、舞台上でスポットライトを浴びるハンマーとゴングを支え、完璧な調和を見せるバレエ団のようです。作動準備が整った後に繰り広げられる“機械仕掛けの舞”では、レバーが下がり、カムが伸び、ラックが前進――そして、ついにハンマーがゴングを打ち、美しい音色が鳴り響く最高潮の“見せ場”を迎えます。

 

このタイムピースには、60秒トゥールビヨンを含む多彩なクロノメーター機能を駆動させるために、計686のムーブメント部品が使用されています。トゥールビヨンの上部にはスモールセコンドが配置され、このウォッチに搭載された計時精度を絶え間なく、しかしさりげなく表示しています。「L.U.C グランド ストライク」は、ジュネーブ・シールとCOSC(スイス公式クロノメーター検定局)のダブル認証を取得しており、その品質と精度が公式に保証されています。


 
ムーブメントのエネルギー消費が極限に達した状態でも時計の性能を維持することを保証するため、「L.U.C グランド ストライク」は、プチソヌリモードでもCOSCの認証を取得しています。プチソヌリは、一見するとグランソヌリよりも省エネルギー効果が高いように思われますが、実際にはグランソヌリよりもエネルギー消費量が多くなります。これは、15分ごとに打鐘を抑制する機構がチャイミングシステムに対してブレーキとして機能し、実質的にパワーリザーブを消費するためです。

 

「L.U.C グランド ストライク」は、トゥールビヨンをはじめとする計時機能に加え、膨大な数の部品と多彩なチャイム機構を搭載しているにもかかわらず、直径わずか43mm、厚さも14.08mmに抑えられています。これは時計製造における“小さな奇跡”と呼ぶべき構造であり、サイズとエネルギー効率の双方が求められる現代生活において、理想的なバランスを実現したモデルです。

エネルギー効率の要件を満たすため、自社製手巻きキャリバー「L.U.C 08.03-L」は、ふたつのゼンマイ香箱を備えており、ひとつは計時機能用、もうひとつはチャイミング機構専用としてそれぞれ独立しています。ソヌリ用の香箱は完全に巻き上げられた状態で、チャイムを頻繁に鳴らすグランソヌリモードにおいても、12時間途切れることなく作動し続けます。

 

テンプの振動数を考慮すると、70時間というパワーリザーブは、このような高度な複雑機構を備えたウォッチとしては特筆すべきものです。「L.U.C 08.03-L」の振動数は4Hz(毎時28,800振動)であり、これはスポーツウォッチとしては標準的な数値ですが、このレベルの複雑時計としてはかなり高い数値となります。「L.U.C グランド ストライク」は、一切の妥協を排して現代の高性能ウォッチに求められる厳格な基準を実現することで、クロノメトリー性能を確実に保証しているのです。

高精度は、ストップセコンド機能を搭載した時刻表示システム自体によって支えられています。リューズを引き出して時刻設定位置にすると、スモールセコンド針が停止し、秒単位まで正確に時刻を合わせることが可能です。こうして、ムーブメントのクロノメトリー性能が、文字盤の表示を通して余すところなく発揮されています。

優れた計時性能と表示精度に加え、「L.U.C グランド ストライク」は長年の使用にも耐えうる堅牢性を備えています。ショパール マニュファクチュールでは、プロトタイプの段階から「L.U.C グランド ストライク」の社内品質管理を実施しています。2種類のソヌリモードをそれぞれ同数ずつ、合計62,400回作動させる試験を行い、わずか3ヶ月で5年間の使用状態をシミュレートする加速プロセスを実施しました。ミニッツリピーターについては、リューズプッシャーで連続3,000回作動させ、ムーブメントの長期使用への耐久性を検証しています。全工程を通して、サファイアクリスタル製ゴングはこの厳格なテスト中に50万回以上打鐘され、自社製キャリバー「L.U.C 08.03-L」が誇る耐久性と信頼性が実証されています。


クリスタルクリアな音色
「L.U.C グランド ストライク」には、ショパール マニュファクチュールに受け継がれてきた数十年にわたる時計製造の伝統が息づいていますが、その核となるのが“革新性”です。ショパールは、ソヌリウォッチの製作工程により高い精度と専門性を追求するため、ジュネーブにある工科大学 HEPIA(Haute Ecole du Paysage, d'Ingénierie et d'Architecture: ジュネーブ高等造園・工学・建築学校)と密接に連携し、メゾンのシグネチャーであるチャイムの技術的特性を解析しました。その結果導きだされた知見によれば、サファイアクリスタル製チャイミングシステムとスティールゴングを用いた従来の構造とは明確に異なる3つの要素が明らかになりました。

第一の特徴は、そのモノブロック構造にあります。従来のチャイミングウォッチは、円形断面のポリッシュ仕上げのスティールゴングを使用し、これをムーブメントにネジで固定します。伝統的なソヌリのチャイムは、ハンマーがゴングを叩くことで、音響エネルギーが振動波としてウォッチ全体に伝わり、文字盤のクリスタルを伝わって空気中を伝播することで発生します。しかし、この間接的な音の伝達方法は、ゴングの固定部やムーブメント、さらにはケースなど複数の箇所でエネルギーが損失し、チャイム全体の響きが減衰してしまいます。これに対し、ショパール独自のチャイミングシステムでは、一塊のサファイアクリスタルから機械加工により削り出したゴングと文字盤のクリスタルを一体化させています。ハンマーがこのサファイアクリスタル製ゴングを打つと、文字盤のクリスタル全体が共鳴・振動し、音が直接外部へと伝わります。その結果、ムーブメントやケースによるエネルギー損失を最小限に抑えることができ、チャイムの音色がより明瞭で純粋なものとなります。

第二の特徴は、サファイアクリスタル製ゴングの形状にあります。従来のスティール製ゴングが円形の断面を持つのに対し、ショパールのサファイアクリスタル製ゴングは直交(角形)断面を採用しています。これは運動エネルギー伝達の原理に基づいた設計であり、ソヌリハンマーとゴングの接触面積を拡大することで、より効率的なエネルギー伝達を可能にしています。さらに、この角形断面は、円形断面のゴングとは異なる音響特性も備えています。ゴングの長手方向に沿った直角構造は、音波の振動を特定の方向へ導く「音の偏光フィルター」のような役割を果たします。この複雑な振動パターンにより、耳に心地よく響き、調和と質感を兼ね備えた豊かで重層的なチャイム音が効果的に生み出されます。

第三の特徴は、サファイアクリスタルそのものの原子構造にあります。この素材が持つ特性こそが、現在製造されているすべてのショパール製ソヌリにまぎれもない品質を与えています。サファイアの単結晶構造から生み出されるチャイムは、優美でありながらパワフルで、澄み渡りながらも豊かに共鳴する――その響きは、いかなるスティール製ゴングでも再現することができません。さらにサファイアクリスタルはダイヤモンドに次ぐ硬度を誇り、金属のように物理的な変形を生じることがありません。そのため“永遠の響き(Sound of Eternity)”と名付けられた独特の音色が生まれるのです。

「L.U.C グランド ストライク」のチャイム音は、「C# – F♮ 」の和音に調律されており、この音程が安定と調和を生み出しています。

この比類なきチャイムを支えるムーブメントの性能をさらに高めるため、ショパール マニュファクチュールは、5件の新たな特許技術を開発・出願しました。そのうちの2件は、使用上の安全性に関するもので、「L.U.C グランド ストライク」の着用者は、ムーブメントに損傷を与えることなく、いつでもチャイム機構を作動させることができ、またチャイムモードを切り替える際にも時刻表示に誤差が生じないよう設計されています。これらの特許から、ショパールが実生活において直感的に使用できるウォッチの開発に力を注いでいることが理解できます。

残る3件の新しい特許は、いずれもパフォーマンスの最適化に特化したものです。まず1件目は、ソヌリチャイムの起動に必要なトルクを低減するエネルギー効率の高い新しいクラッチ機構の開発で、これによりソヌリ香箱のパワーリザーブを効果的に延長することができます。2件目は、トルクが不足している場合、ソヌリチャイムの起動をブロックする機構に関するもので、これによりチャイムの途中停止や不完全な打鐘を回避できます。3件目については、ハンマーの形状を再定義し、慣性モーメントを変化させることで、偶発的な衝撃が発生した場合に、サファイアクリスタルゴングへのダメージを最小限に抑える設計です。この追加の安全性をチャイム音の品質を損なうことなく実現するために、特別な努力が払われました。

ショパール マニュファクチュールでは、時計とそれを身に着ける人の双方にとって意義ある進化を追求しています。


フォルムと機能の完璧な調和
「L.U.C グランド ストライク」は、細部に至るまでショパールのオートオルロジュリーの卓越した技術と洗練の美意識を映し出すように設計されています。その絶妙なバランスは、心地よい着用感を生む理想的なプロポーションといった造形に反映されているだけではなく、手首に装着した瞬間の体験をより豊かにする繊細なディテールにも息づいています。

ソヌリ機構の精緻なメカニズムは、チャイミングウォッチを目にするほとんどの人にとって謎めいた存在のままですが、「L.U.C グランド ストライク」はあえてその複雑な構造を見せる設計を採用しています。文字盤を排したデザインにより、ウォッチ内部の機構全体が露わになり、オートオルロジュリーの神秘と驚異を視覚的に強調しています。

 

革新的なサファイアクリスタルのチャイミング機構と対比し、それを補完する美的要素として、ムーブメントの地板とブリッジには伝統的な洋銀(ジャーマンシルバー)を採用しています。この合金は時計製造において長い歴史を持ち、時の経過とともに緑青(パティナ)を帯び、温かみのある風合いを醸すことで知られています。また、人の皮膚に含まれる天然の油脂に反応しやすい性質を持つため、扱いには極めて高度な注意と熟練が求められます。時計愛好家であれば、この素材を用いた仕上げの繊細さと難易度を一目で理解することでしょう。外装の各部品もまた、緻密に調整された仕上げの“シンフォニー”を奏でています。サテン仕上げを施したミドルケースは、ホワイトゴールド特有のナチュラルで柔らかな光沢が引き立ち、ケースバックに向かって柔らかな丸みを帯びたケース(bassiné case)は、腕の曲線に自然に沿い、流麗なラインを描きます。仕上げの洗練を極めるのが、ゴールド製針&インデックスです。一見するとゴールド仕上げの部品と見分けがつきませんが、その内に宿るソリッドゴールド素材の純度が、ショパール マニュファクチュールの真の品質と美学を雄弁に語っています。

カール‐フリードリッヒ・ショイフレは次のように語ります。
「ショパール マニュファクチュールでは、革新と伝統の完璧な相乗効果を生み出す時計を製作するという理念を常に堅持しています。ムーブメントの構造や機能を最大限引き立てるために再設計されたケースデザインは、長年にわたって培ってきた最高水準の時計製造技術の結晶が息づいています。同時に、『L.U.C グランド ストライク』を身に着ける歓びを高めるために、あらゆる工夫が凝らされています。光の下で美しい輝きを放つ手作業による仕上げのディテール、手首に完璧にフィットする優美な曲線を描くケースのフォルム、好みに合わせて交換可能なストラップなど、細やかな配慮が尽くされています。時計愛好家の方々がこのタイムピースをご覧になれば、チャイミングウォッチの偉大な伝統と遺産を彷彿させる、そのプロポーションと仕上げにきっとご満足いただけることでしょう」。

音楽と時計製造は同じ魂を宿しています。どちらも高揚感とインスピレーションをもたらし、崇高なものを伝える力を持っています。優雅さと数学的な法則が、両者を等しく支配しています。それらは時を超えて響き合い、人の営みにリズムを与えてきました。この共通の本質を最もピュアな形で体現するチャイミングウォッチが、時計製造の頂点として君臨しているのも不思議なことではありません。それはまさしくオートオルロジュリーのスピリットが最も崇高な形で昇華した象徴といえるでしょう。ショパールがソヌリの探求と革新の旅を続けること30年、「L.U.C グランド ストライク」は、2006年に登場した名作「L.U.C ストライク ワン」が掲げた約束をついに果たしました。そのチャイムは、時計製造の世界において極めて稀有な存在。儚くも忘れ難く、一瞬でありながら永遠の響きを奏でます。


ショパール マニュファクチュール 創設30周年
2026年、ショパール マニュファクチュールは、フルリエに自社ムーブメントの工房を創設以来、30周年を迎えます。その始まりは、1996年に発表されたキャリバー「L.U.C 96.01-L」の誕生に遡ります。30年間で、メゾンの工房は本格的なマニュファクチュールへと成長し、ベースキャリバーから複雑なムーブメントの製作、精緻な手仕上げ、クロノメーター認定の取得、部品加工から工芸技術に至るまで、あらゆる製造工程を習得してきました。ショパール マニュファクチュールの歩みは、チャイミングウォッチにおけるサファイアクリスタル製ゴングの導入などの先駆的なイノベーションや、責任ある素材調達といった業界をリードする取り組みによって特徴づけられています。今日、ショパールの「L.U.C 」コレクションは、長期的なビジョンと家族の情熱と継承の伝統、そして一切の妥協を許さない精度への探求が、スイスのウォッチメイキングにもたらす成果を体現しています。