ルイ・エラー×ヴィアネイ・ハルター レギュレーターIIを発表した。

両者の最初のコラボレーションをまだご存じない方のために説明すると、2020年に登場した初代ルイ・エラール×ヴィアネイ・ハルター レギュレーターは、ハルター独特の美学を広く届けるための試みとして作られた。ルイ・エラールが製造を担当し、ハルターがデザインを手掛けたこのレギュレーターは、価格が3500スイスフラン(日本円で約59万2000円)に設定され、ハルターのオリジナル作品に小売市場やセカンダリーマーケットで一般的につけられる高額な価格とは一線を画していた。

2020年、ルイ・エラールとヴィアネイ・ハルターによる初のコラボレーションが実現した。
 両者において初のコラボレーションが、ハルターのモダンな美学を反映したものであったのに対し、今回の第2弾はハルター氏の代表作であるアンティコアからインスピレーションを得たものだ。スチームパンクを思わせるその独特のデザイン言語は、温かみのある金属の色合い、シャープに面取りされたフォルム、そして何よりも特徴的な(しかも大量の)リベットによって際立っている。今回のレギュレーターは、特異で魅力的なアンティコアのパーペチュアルカレンダーに見られる分割式の文字盤と精神的に通じるデザインを強く表現しているといえよう。

 このコラボレーションでは価格を抑えるために機能をシンプルにし、時計は時刻表示のみに絞ったレギュレーターモデルとして仕上げられている。ここにはハルターならではの複雑機構は存在しないが、その代わりにデザインが全面に押し出される形となった。文字盤上には、時・分・秒表示がそれぞれ分割され、独立したレイアウトで配置されている。これまでのルイ・エラールのレギュレーターは、基本的にセリタ製ムーブメントSW266-1を採用した対称的な配置が主流だったが、今回は大胆に非対称性を採用。ムーブメント自体を時計ケース内で数度回転させたデザインとなっている。その結果としてリューズが2時位置に配置されることになり、この小さな変更が大きな視覚的インパクトを生み出し、より“ハルターらしい”仕上がりとなっている。文字盤上で盛り上がったインダイヤルと外周のチャプターリングにはサーキュラーブラッシュ仕上げが施され、ダイヤモンドポリッシュによるシャープな面取りが加えられている。これらの立体的な要素は垂直にヘアライン仕上げが施された文字盤プレートの上に配置され、ハルターらしいブルースティール針がその美観を完成させている。



 時計のベゼルにもサーキュラーブラッシュ仕上げが施され、ポリッシュ加工された12個の“レッドギルト”(ブランドによると5NのPVDコーティングが施されたもの)のリベットが、事実上の時刻マーカーとして配置されている。ケースのサイズは直径43mmとかなり大きいが、厚みは10.95mmと適度に抑えられている。またラグ幅が22mm、ラグトゥラグの長さが49.6mmであることから、装着時には非常に力強い存在感を放つであろうと想像できる。さらに特筆すべきは、リューズを取り囲むリベットのデザインであり、時計愛好家ならフランスの時計職人によるものであることをひと目で見抜けるような際立った特徴を有している。

左のモデルはeコマース専用で、右のモデルは小売店専用である。
 今回のコラボレーションでは、実は2種の異なるモデルが発表されている。両モデルともレイアウトは同じだが、文字盤の配色が反転している。一方は公式eコマース限定で販売され、もう一方はパートナーである小売店専用で展開される予定だ。それぞれ178本限定となり、価格は4444スイスフラン(日本円で約75万円)に設定されている。

我々の考え
これは前述のとおり釘づけになる(リベットを使った=riveting)デザインである。冗談はさておき本作はルイ・エラールのレギュレーターモデルとして非常に魅力的なアプローチであり、アラン・シルベスタイン、クドケ、マッセナ LABなどと行ってきた強力なコラボレーションモデルのなかでも、現時点では特に私のお気に入りとなっている。
 近年、高級時計メーカーが有する強力なデザイン言語をより手ごろな価格帯のモデルに反映させようとする試みが数多く見られる。つい先日もグローネフェルド(Grönefeld)兄弟が自身の新ラインでこのコンセプトに即したモデルを発表したばかりであり、MB&Fから派生したM.A.D.エディションもここ数年話題の中心となっている。さらにはムーンスウォッチでさえも、このアイデアに当てはまる時計だと言えるだろう。

 ルイ・エラールとヴィアネイ・ハルターのコラボレーションにより誕生した今回の時計は、デザイナーとしてのヴィアネイ・ハルター(Vianney Halter)氏の美学に魅了されながらも、時計師としてのハルター氏が要求する価格には手が届かないという人々にとって非常に魅力的な一品となっている。今回のモデルは初回コラボレーション時の価格である3500スイスフラン(日本円で約59万2000円)よりも高額になっているが、新モデルは以前のモデルよりもはるかに洗練されていると感じられる。しかしケースサイズの大きさについては、個人的には気になる点のひとつである。というのも、ハルターの作品はこれまで一貫して比較的小振りなサイズ感を保ってきたからだ。特に時刻表示のみのモデルでは36mm程度が主流であった。しかしこの時計を実際に手に取って見たわけではないため、この点についての最終的な判断は保留としたい。

基本情報
ブランド: ルイ・エラール×ヴィアネイ・ハルター(Louis Erard x Vianney Halter)
モデル名: レギュレーターII(Le Régulateur II)
型番: 85246AA03.BVA172(小売店専用モデル)/85246AA02.BVA172(eコマース専用モデル)

直径: 43mm
厚さ: 10.95mm
ケース素材: SS
文字盤色: レッドゴールド(小売店専用モデル)/シルバー(eコマース専用モデル)
インデックス: プリント
夜光: なし
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: レザー


ムーブメント情報
キャリバー: セリタ SW266-1
機能: レギュレーター表示による時・分・秒表示
直径: 25.6mm
厚さ: 5.6mm
パワーリザーブ: 38時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 31

大塚ローテックが手がける最新作は、ワンダリングアワー機構を搭載した2025年新作モデルが登場

独立系時計ブランドは近年その存在感を強めていますが、日本発ブランドとして今最も注目を集めているのは、カーデザイナーを務めたのちプロダクトデザイナーとして独立した片山次朗氏による大塚ローテックの名を挙げる方も多いのではないでしょうか。昨年のGPHG2024では、ダブルレトログラードを搭載した6号でチャレンジウォッチ賞を受賞。また、オークションハウスのフィリップスが日本をテーマに開催したTOKI-刻-オークションでは、チャリティーとして出品されたユニークピースの6号 東雲 “SHINONOME”が約1100万円で落札されるなど、その勢いはとどまるところを知りません。

大塚ローテック 5号改
スーパーコピーn級品 代引きそんな大塚ローテックから2025年の新作モデルとして発表されたのが5号改です。同ブランドの時計といえば、6号で採用されたダブルレトログラードや、7.5号に搭載されたジャンピングアワー機構など、時分針を使った一般的なやり方ではなく独特な時刻表示が特徴。本作も例外ではなく、大塚ローテックとして初めてワンダリングアワー機構が採用されました。

ワンダリングアワー、別名サテライトアワーとも呼ばれるこの機構は、回転する数字盤と固定された目盛りを組み合わせて時間を表示する独特な仕組みです。一見その仕組みが分かりづらいかもしれませんが、一度その動作原理を理解すると、時刻表示が非常に直感的で効率的であることに気づくと思います。
時間と分をひとつのインジケーターで表現するこの方式は、視覚的にもユニークで、スイスの時計ブランドでもこの表示方式を採用しているモデルがあります。例えば、記憶に新しいモデルとしては、オーデマ ピゲのCODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ スターホイールやウルベルクのUR-100などです。

片山氏は、ワンダリングアワー機構を独自開発のモジュールをミヨタ製ムーブメントに組み込むことで実現しました。ワンダリングアワー機構は、見た目は複雑な仕組みに見えるものの、実際には非常に静的なメカニズムです。リューズで時刻を合わせたり、早送りされた動画ではディスクが次々と勢いよく回転する様子が確認できますが、通常の動作時にはそこまで派手な動きになりません。

しかし、5号改では、8時位置に配置されたローラーに時ディスクが直接当たる仕組みを採用することで、時ディスクが1時間に2回、瞬時に切り替わるダイナミックな動作を実現しています。この工夫により、メカニズムの動きを視覚的に楽しめるだけでなく、ジャンピングアワーのような時間の切り替わりを体感できる設計となっています。さらに、5時位置に配置された秒ディスクは、時ディスクの位置に影響されることなく常に動き続け、その一貫した動作を視覚的に楽しむことができます。

モデル名に5号“改”とあることからも分かるように、このモデルにはオリジナルである5号が存在します。2012年に登場した5号は、レギュレーターによる独特な時刻表示と日付表示機構を備えたモデルでした。興味深い点は、機構が異なるにもかかわらず5号の名を受け継いでいることです。これは、大塚ローテックがモデル名を決定する際に、デザイナーである片山氏が手掛けたケースデザインの順番を基準としているためです。

5号改のケースデザインは、オリジナルの5号をもとにリファインされています。また、両モデルにはいくつかの共通点も存在します。そのひとつが、どちらも2個のボールベアリングが正面から見える形で採用されている点です。そもそも片山氏にとってボールベアリングは、子供の頃に夢中になっていたラジコンの憧れのチューンナップパーツだったそうです。通常、腕時計のムーブメントの軸受けには赤い人工ルビーが使用されますが、片山氏は高精度の象徴として感じていたボールベアリングを敢えて視覚的に楽しめる位置に採用しようとオリジナルの5号を作ったのだと言います。

5号改には、ミネベアミツミ社による日本製の高精度ボールベアリングが搭載されており、そのうち時ディスク切り替え用には、このモデルのために特別に製作されたもの。さらに、秒ディスクの中心に使用されているボールベアリングは2015年に発表されたもので、2025年現在でも世界最小とされる直径わずか1.5mmの精密パーツです。

5号改の価格は税込みで74万8000円。大塚ローテックがこれまで販売してきたモデルのなかでは最も高額なモデルですが、同じ機構を備えた他ブランドのモデルを考えると競争力のある価格と言えます。2025年3月に抽選販売される予定で、他のモデルと同様に日本からのみ購入が可能となっています。

実は、以前に取材で東京・大塚にある片山氏の工房を訪れた際、この時計のプロトタイプを目にする機会がありました。その時、真っ先に感じたのは、「なんて片山さんらしい遊び心あふれるデザインなんだろう」ということです。ワンダリングアワー機構の起源は17世紀に遡ります。もともとはナイトクロック用に開発されたこの機構は、ローマの時計師カンパーニ兄弟がローマ法王のために設計したものがその始まりとされています。歴史のあるクラシックな機構ですが、片山氏の計器を連想させるようなデザインが落とし込まれた5号改は、まったく異なる印象を与えます。

デザイン上で興味深い点は、多くのワンダリングアワー機構を搭載したモデルでミニッツトラックは文字盤の上部または下部に配置されているのに対し、5号改ではそれが右端にデザインされていること。この工夫により、左手首に時計を装着した際、袖口で文字盤の一部が隠れてしまっても、時間表示部分がしっかり視認できるよう配慮されています。ケース径40.5mm、厚さは風防込みで12.2mmと決して小さな時計ではありませんが、視覚的な独自性と実用性を両立させた、5号改ならではの設計となっています。

そして、5号改では時ディスクが指し示す分表示のずれ(バックラッシュ)を防ぐために薄く加工した歯車を2枚重ね、それらをバネで支える構造を採用しています。片山氏のデザイン哲学が詰め込まれた5号改は、視覚的な面白さと実用性を兼ね備えた、まさに信頼できる計器のような時計です。

このモデルが誕生した背景には、大塚ローテックが浅岡肇氏率いる東京時計精密との提携を果たしたことが大きく関わっているようにも感じました。提携によって製造本数の増加が実現しただけでなく、片山氏がこれまで多くの時間を費やしていたネジの旋盤加工といった作業から解放されたことで、新たなクリエーションに集中する時間が生まれたと伺っています。

さらに、今回のモデルで重要な役割を果たしているボールベアリングの採用にも、この提携が一役買っています。浅岡氏がプロジェクトTでミネベアミツミ製のボールベアリングを採用していた経緯があり、そこからのつながりで今回の採用が実現したのだそうです。提携による時間の確保と新しい技術の導入機会が、このモデルの実現に繋がった重要な要素でしょう。
なお、新作の5号改は、2月6日(木)から2月12日(水)まで、10時から19時50分のあいだ、WITH HARAJUKU 1Fエントランスで実機が展示される予定です。大塚ローテックは、現在ブティックなどはなくオンラインでの販売のみのため、その魅力を実際に確認したい方はこの期間に訪れてみてはいかがでしょうか。

基本情報
ブランド: 大塚ローテック(Otsuka Lotec)
モデル名: 5号改(No.5 KAI)

直径: 40.5mm
厚さ: 7.6mm(風防込ケース厚:12.2mm)
ケース素材: ステンレススティール
夜光: なし
防水性能: 日常生活防水
ストラップ/ブレスレット: カーフレザー

ユニクロ:2025年秋冬コレクションが登場。

ユニクロ:シー25年秋冬メンズはこちらをチェック

機能性素材でつくるテーラリング

2025年秋冬シーズンは、機能性素材を活かしたエレガントなテーラリングアイテムを提案。フォーマルなエレガンスとカジュアルな快適さを融合させ、オールシーズン着用できるモダンなウェアを幅広く展開する。

<第1弾>晩夏から秋冬まで快適に
コットンコクーンシャツ 3,990円
第1弾として先行発売されるウィメンズアイテムは、晩夏から秋冬まで長いシーズンで着用できるのが魅力。中でも注目は、ふんわりとしたバルーンシルエットが上品さを演出するコットンコクーンシャツ。ボリュームのある袖は、コーディネートにアクセントを添えてくれること間違いなしだ。

ディオール スーパーコピースウェット風のセーターには新色が仲間入り
スムースコットンクルーネックセーター 3,990円
やわらかく肌触りの良いコットン100%素材のクルーネックセーターは、スウェットのように見える遊び心溢れるデザイン。スウェットやデニムとあわせて、さらっとカジュアルに着こなせる。2025年秋冬は、レッドやオレンジ、グリーンなど、豊富なカラーバリエーションで展開される。

ミディ丈のキュロット
キュロット丈短め 3,990円
2WAYストレッチ機能を持つ素材で着心地も抜群なキュロットは、短めクロップド丈が新鮮。ワイドな裾幅となっており、スカート感覚で履けるのがポイントだ。

<第2弾>上質素材のアウターが勢揃い
ツイードテーラードジャケット 9,990円
第2弾では、機能性素材を採用したアウターや、上質なカシミヤニットなど、素材や機能性の高さを実感できるアイテムがラインナップ。たとえば、あたたかみのあるウールブレンド素材を用いたツイードテーラードジャケット。肩パッド入りで、本格的に仕立てられている。

アシンメトリーなペプラムスコート
フレアスコート 3,990円
ツイードテーラードジャケットとあわせてスタイリングするなら、同様の素材を使用したフレアスコートがおすすめ。アシンメトリーなペプラムデザインが目を惹く1着だ。パンツ型ライニング付きなので、安心して着用できる。

すっきりIラインシルエットのロングコート
ダブルロングコート 12,900円
ダブルロングコートは、すっきりとしたIラインシルエットが特徴。ダブルブレストや内ポケットなど、本格仕様のコートとなっている。左右どちらにもボタンホールを配したジェンダーレスアイテムだ。

天然羽毛を再現した"機能性中綿"を使用した機能性素材「パフテック」のジャケットも。手洗いOKな「パフテック」は、ダウンと同等の保温性を備えているのがグッド。ふわふわのフリース襟を配したマット素材のジャケットで、厳しい寒さも平気で乗り越えられそう。

“重ねてもかわいい”ワッフルニットベスト&セーター
ワッフルニットフーデッドベスト 3,990円、ワッフルニットクルーネックカーディガン 4,990円
ふくらみのあるワッフルの編み地がポイントのフーデッドベストとクルーネックカーディガンは、重ねて着こなすのがおすすめ。ベストを下に着て、フードだけ出したスタイリングを楽しんで。

ヒートテックカシミヤ&スカーフ付きセーターなど
カシミヤリラックスVネックセータースカーフつき 14,900円
軽くて暖かく、極上な肌触りのカシミヤ100%のアイテムも豊富。シアーなのに暖かい極暖ヒートテックカシミヤのトップスや、取り外し可能なスカーフ付きで、1枚でも着やすいよう小さめVネックで仕上げたセーターなどが揃う。

“クリーンもカジュアルもOK”フレアパンツ
フレアパンツ 5,990円
足元にフレアパンツをあわせれば、よりエレガントなルックに。ダブルブレストのテーラードジャケットと合わせればクリーンに、Tシャツやゆったりとしたトレーナーなどと合わせれば、カジュアルな印象に仕上がる。

パフィーバッグやベルトなどアクセサリー
ソフトパフィーショルダーバッグ 2,990円
※ネイビーの日本展開なし。
ちょっとした旅行にも最適な大容量パフィーショルダーバッグや、レザーベルトなど、アクセサリー類も用意。加えて、レースアップシューズやTストラップバレエシューズといったレザーシューズも豊富に揃うので、トータルコーディネートを楽しんでみて。

【詳細】
ユニクロ:シー 2025年秋冬コレクション〈ウィメンズ〉
第1弾発売日:2025年7月18日(金)~順次
第2弾発売日:9月5日(金)
販売場所:フルラインナップ 店舗、ユニクロオンラインストア予定
※一部商品を国内全店舗で展開。
商品ラインナップ:ウィメンズ 22アイテム 、メンズ 15アイテム 、アクセサリー 8アイテム
価格帯:
・アウター 7,990円~12,900円
・スカート&パンツ 3,990円~5,990円
・シャツ 3,990円
・ニット 3,990円~14,900円
・インナー 2,290円
・ドレス 4,990円~5,990円
・バッグ&シューズ&ベルト 2,990円~5,990円

G-SHOCK 新たな機能やシェイプの提案があるたびにさまざまなモデルが誕生してきた。

G-SHOCKにおいて“定番”として位置付けられ、大きく形状を変えず長く製造され続けてきたシリーズがある。ORIGINの血を色濃く受け継ぐ“5000/5600”、3つ目のインジケーターを持つラウンドフォルムの“6900”、ビッグフェイスにデジアナ表示を備えた“110”、特徴的なオクタゴンベゼルの“2100”。これら5つのシリーズはIconic Stylesと呼ばれ、ブランドを象徴する存在として重要な役割を担っている。

そして今年、6900シリーズが周年を迎える。25周年の際には偏光グラデーション蒸着のガラスにスケルトンケースを備えたスペシャルなモデルがリリースされていたが、30周年の節目に登場したのは同シリーズのルーツも感じさせる3色のアニバーサリーウォッチだ。

G-SHOCKにおいて初めて3つ目のインジケーター(トリグラフ)を導入した1992年のDW-5900C-1、印象的なフロントボタンで好評を得ていた1994年のDW-6600-1Vのエッセンスを受け継ぐ形で、1995年2月に6900シリーズの1作目であるDW-6900-1Vは誕生した。その同年、スラッシャーモデルと呼ばれるブラック・イエロー・レッドの3色で構成されたDW-6900Hが登場。本作のカラーバリエーションは、このDW-6900Hをかなり忠実に再現している(当時ELバックライトを意味していたFOX FIREの文字こそないが)。当時6900シリーズを愛用していた人々からすると、うれしい仕様ではないだろうか。

一方で現代的な変更が見られる箇所もある。それがベゼル・バンドへのバイオマスプラスティックの採用と、6900のデザインアイコンであるフロントボタンのメタル化だ。前者は昨年12月のDW-5000R(DW-5000Cの復刻)の際にもあったアップデートで、環境負荷の低減を掲げる昨今のG-SHOCKにおいては欠かせない。後者はエリックヘイズコラボをはじめとした過去の6900シリーズでも見られたもので、ミラー仕上げの素材表面に刻まれた力強い“G”マークが抜群の存在感を放っている。

1995年に登場したDW-6900H-9。当時のスポーツカルチャーの象徴的存在であった若者“スラッシャー”を意識して、樹脂製のストラップには“G-SHOCK is dedicated to the soulfootinmotion(このG-SHOCKをスラッシャーに捧げる)”とプリントされていた。

機能面では、20気圧防水に加えて100分の1秒ストップウォッチ、タイマー、マルチアラーム、報音フラッシュ機能、LEDバックライト(フロントボタンで点灯)を装備。価格はいずれも1万6500円(税込)で、2025年2月の発売を予定している。

僕は残念ながら、6900シリーズが巻き起こした熱狂にリアルタイムで触れた世代ではない。しかしストリートで広く受け入れられ、世界的なビッグネームとコラボレーションを繰り返してきたのをひとりのG-SHOCKファンとして興味深く見てきた。そんなG-SHOCKを象徴するシリーズの原点を再現し、リファインしたモデルを30周年という節目に手にできるというのは感慨深い。かつて2009年にもスラッシャーモデルをアレンジしたGW-6900A-9がリリースされていたが、3色ともに揃うのは初めてではないだろうか?

Iconic Stylesの30周年ということもあり、バックライトを点灯した際に浮かび上がる“SINCE 1995”の文字、ケースバックに刻まれた30個の星などアニバーサリーイヤーを飾るデザインも落とし込まれている。しかしそのどちらも、通常使用しているなかで表に出てくるものではない。周年モデルでありながら、オリジナルのデザインを楽しみたいというファンの期待に応える気の利いた仕様だ(個人的には、SINCE 1995のフォントにも30年前の雰囲気を感じている)。

2025年にはこの後も6900シリーズのリリースが続くと踏んでいる。しかし、このリリースは周年のスタートとして素晴らしい。レギュラーモデルから逸脱しない価格帯もあり、6900シリーズのルーツを表現しながら既存ファンから新規層にまで幅広くアプローチするモデルとなるだろう。

しかしDW-5000R、ORIGINのカラーリングを踏襲したIconic Stylesに続くG-SHOCKの原点にフォーカスする流れは今後も続くのだろうか? G-SHOCKは2023年に40周年を迎えたブランドだ。もしかしたら、ユーザーの世代交代も意識した動きなのかもしれない。その答え合わせは今年15周年を迎える110シリーズでなされるかもしれないが、とりあえず今はこの目の前のモデルを存分に楽しみたいと思う。(まだ手にできていないが)DW-5000Rとともにコレクションに加える予定だ。

基本情報
ブランド: G-SHOCK
モデル名: 6900シリーズ30周年記念モデル
型番:DW-6900TR-1JR(ブラック)/DW-6900TR-4JR(レッド)/DW-6900TR-9JR(イエロー)

直径: 50mm
厚さ: 18.7mm
ケース素材: バイオマスプラスチック
文字盤色: ブラック
夜光: LEDバックライト(スーパーイルミネーター)
防水性能: 20気圧
ストラップ/ブレスレット:バイオマスプラスチック
追加情報: 100分の1秒ストップウォッチ、タイマー、マルチアラーム、報音フラッシュ機能

伝説的レーシングドライバー、ハーレイ・ヘイウッドの時計コレクション

モーターレース、特に耐久レースが好きなら、ハーレイ・ヘイウッド(Hurley Haywood)氏についてくどくど紹介する必要はないだろう。シカゴ生まれのこのレーシングドライバーは、デイトナ24時間レースで5勝、セブリング12時間レースで総合優勝2回、ル・マン24時間レースで3勝を挙げるなど、レーサー志望なら誰もが憧れるようなキャリアを歩んできた。つまり、“耐久レースの三冠”のうちふたつを制したことになる。しかもこれは彼のキャリアのほんのハイライトに過ぎない。ヘイウッドはロードレース界のレジェンドであり、耐久レースの世界で重要なふたつのブランド、ポルシェとロレックスとのパートナーシップを50年にわたり享受してきた。

フロリダ州ジャクソンビルにあるブルーモスコレクションの本拠地で、ハーレイ・ヘイウッド氏に話を聞いた。緑豊かな低地の森にひっそりと佇むブルーモスコレクションは、約3万5000平方フィート(約3252㎡)の博物館で、実際に稼働する施設でもある。1959年にポルシェの輸入を開始したブランデージ・モーターズの歴史を紹介する施設だ。1960年代半ば、レーシングドライバーのピーター・グレッグ(Peter Gregg)がブルーモスの事業とブルーモス・レーシングチームを引き継いだ。60年代後半、グレッグはオートクロスイベントでヘイウッド氏と出会い、そこでヘイウッドが勝利を収めた。その走りに感銘を受けたグレッグは、ヘイウッド氏に次のレースへの出場枠を提供し、これがヘイウッド氏のレーシングキャリアの始まりとなった。ふたりは1973年、きわめて過酷なデイトナ24時間レースでブルーモスチーム初の勝利を手にする。

ブルーモス・レーシングのポルシェ911 カレラRSRを駆り、ピーター・グレッグとともに1973年のデイトナ24時間レースを制したヘイウッド氏。

ハーレイ氏は2012年にプロレースから引退し、トランスAMとSuperCarのタイトル、3度のノレルコ・カップ・チャンピオンシップ、インディカーでの18戦出走など、上記のような輝かしい勝利とともにキャリアを閉じた。ベトナム戦争への従軍やLGBTQコミュニティの支援活動など、彼の驚くべき人生についてさらに詳しく知りたい方は、パトリック・デンプシー(Patrick Dempsey)がプロデュースしたハーレイの人生を紹介する2019年の映画『Hurley』をぜひご覧いただきたい。

予想どおり、ハーレイ氏のレース時代は時計の世界と深く結びついていた。彼は長年にわたり、とても魅力的なコレクションを築き上げてきたが、その多くはロレックスとの長年の関係から生まれたものだ。彼はいまもロレックスのアンバサダーを務めており、モータースポーツの世界におけるロレックスの存在感を示し続けている。ハーレイ氏が披露した時計はレースでの素晴らしい成功の証しであり、また彼のキャリアと私生活における思い出深い瞬間と結びついた証しでもある。


この動画を楽しんでもらえたらうれしい。ハーレイ氏、ポルシェの友人たち、そしてこの動画の制作に協力してくれたブルーモスコレクションの素晴らしい人々に、僕自身とHODINKEEのスタッフ全員から心からの感謝を伝えたい。もしあなたも僕と同じようにクルマと時計、そしてこのふたつの世界の交わるところに魅力を感じるなら、ハーレイ氏と話し、彼のレースや時計、そしてミュージアムのクルマについて聞くのは、言葉では言い表せないほど楽しい時間だったことを想像してもらえるだろう。

1991年デイトナ24時間レース優勝を記念して贈呈されたコンビのロレックス デイトナ Ref.16523

デイトナ(という時計)は数あれど、これは別格だ。ハーレイ氏は1991年のデイトナ24時間レースで優勝し、このコンビのロレックス Ref.16523を手に入れた。これ以上にクールなトロフィーはないし、こんなにも実用的なトロフィーもそうそうない。


ホワイトダイヤルに赤い文字がアクセントとして添えられたこのデイトナ Ref.16523は、ゼニス時代のモデルだ。ハーレイ氏はフランク・ジェリンスキー(Frank Jelinski)、アンリ・ペスカロロ(Henri Pescarolo)氏、ボブ・ウォレック(Bob Wollek)、ジョン・ウィンター(John Winter)とともにヨースト・レーシングのポルシェ962Cを駆り優勝を果たし、その功績を称えてこの時計が贈られた。

ハーレイ氏がデイトナで総合優勝を果たしたのは1991年で5回目(すごい)だったが、ロレックスのデイトナが優勝賞品として贈られたのはこれが初めてだった。当時、優勝者に贈られる時計は通常スティール製だったが、ハーレイの輝かしい経歴を考慮してロレックスは特別にコンビモデルを用意した。


使い込まれたケースバックには “Rolex 1991 24 Hours of Daytona Award(ロレックス 1991、デイトナ24時間レース賞)”と記されている。これ以上の栄誉はないだろう。

ロレックス デイトジャスト Ref.16220

Talking Watchesの撮影で彼が手首にしていたのがこの時計だ。ホワイトダイヤル、ローマンインデックス、SS製エンジンターンドベゼルを備えた、上品で洗練された36mmのロレックス デイトジャスト Ref.16220。最近ハーレイ氏はこの時計をおそろいのオイスターブレスレットで愛用しているが、もともとの仕様とは違う。


その全容はぜひ動画で確かめて欲しい。レースで着用したタイメックス、当時ロレックスUSA会長だったローランド・プートン(Roland Puton)氏からの電話、そして意外なストラップの組み合わせなど、興味深いエピソードが詰まっている。
 

ニバダ グレンヒェン 150本限定の特別仕様として鮮やかなカラーを採用した。

ニバダ グレンヒェンが2023年にアンタークティック ダイバーを発表して以来、そのラインナップは一貫して変わらず、ヴィンテージにインスパイアされたブラックダイヤルがスキンダイバーシリーズの唯一のSKUとして君臨していた。しかし同ブランドの動向を追っているならば、創業者のギヨーム・ライデ(Guillaume Laidet)氏が常にアーカイブやウェブサイト、さらには個人コレクションを探索し、ブランドの歴史的オマージュや復刻のインスピレーションを探し続けていることを知っているだろう。今回ギヨーム氏が参考にしたのは、ヴィンテージウォッチショップで見つけた1970年代のニバダ アンタークティック シーだ。オリジナルはよりユニークなクッションケースを採用していたが、そのエメラルドグリーンのダイヤルは現代版アンタークティック ダイバーのプラットフォームに受け継がれ、新たな限定モデルとして登場することとなった。

今回は、すべてがダイヤルに集約されている。とても鮮やかなグリーンであり、その彩度の高さによって暗い環境でも色が損なわれることはない。サンバースト仕上げが際立ち、明るい光の下ではダイヤルのメタリックな質感が、はっきりと見て取れる。この仕上げの強調により、暗い場所でもダイヤルは単調になることなく明暗のコントラストが生まれ、常に表情を変え続ける。正直に言うと、このカラーリングはチープに見えてしまうのではないかと心配していたが、実物を手に取るとその仕上がりは期待以上に印象的だった。
 ダイヤル周囲には、プリントされたホワイトの分目盛りが配されており、その内側には大型の横長な長方形のインデックスが並ぶ。3・6・9・12時位置には厚みのあるファセット加工が施されたメタル製アプライドインデックスが採用され、それ以外の時間帯には、ブランドが“クリームラテカラーのパティーナ”と称する夜光インデックスが配置されている。だが実際に見るとコーヒーのような色味はなく、むしろグリーンイエローに近い印象を受ける。それでもすべてのインデックスは分厚くワイドに設計されており、このデザイン特有のユニークなプロポーションに貢献している。

これらのインデックスを引き立てるのはきわめてワイドな針だ。私がこれまで見たなかでも最も幅広い針であり、小振りな38mm径のケース内でその存在感が一層際立っている。時・分針は四辺が面取りされているものの、中央部分にはファセット加工が施されておらず、そのためダイヤル上での視認性が非常に高い。オリジナルのヴィンテージモデルから受け継がれたデザインとしては適切な選択だが、もしケースがラウンド型のクッションケースだったならば、このブロック状の針とのバランスがさらによくなったのではないかとも思う。ちなみに、これらの針は現行のアンタークティック ダイバーの標準的なブラックダイヤルモデルにも採用されている。しかし、今回のモデルでは長方形のインデックスと組み合わさることで、そのデザインがより効果的に機能しているように感じられた。
 ヴィンテージからのインスピレーションはこれだけにとどまらず、オリジナルのタイポグラフィもこの現代版に受け継がれている。ニバダ グレンヒェンのブランドロゴ上に配置されたアイコンは、ヴィンテージのカタログリストに掲載されていたデザインを踏襲しており、6時位置の上には筆記体でAntarctic-Diver(南極ダイバー)とプリントされている。今回、自分が手に取ったのはノンデイト仕様だったが、ギヨーム氏はよりオリジナルに忠実なフレーム付きの日付表示モデルも展開している。ブラックダイヤルとは異なりこのモデルには、幸いにもサイクロップスレンズが付いていない。

それ以外の点は、基本的に標準モデルのアンタークティック ダイバーと同じだ。ステンレススティール製のケースは直径38mm、厚さ12.9mmで、ケースサイドはポリッシュ仕上げ、トップとボトムはヘアライン仕上げとなっている。ニバダの多くのモデルはエッジがシャープで明確なラインを持つことが多いが、このモデルはケースのトップからサイドへの移行がより滑らかで、人によってはややポリッシュが強すぎると感じるかもしれない。一方でCNC加工直後のような無機質な印象はなく、適度な仕上がりにまとまっている。ベゼルにはセラミックを採用し、この価格帯で一般的なアルミニウム製よりも高級感のある仕上がりだ。ベゼルは圧接式で、クリック機構のない双方向回転式。適度な抵抗があり、しっかりと固定されている。しかしこの時計を本格的なダイビングツールとして使用する人は、実際にはほとんどいないだろう。
 この時計の全体的なサイズ感は非常に装着しやすく、200mの防水性能を備えた実用的なダイバーズウォッチとなっている。さらにトロピックラバーストラップが手首にしっかりとフィットし、快適なつけ心地を実現している。ムーブメントにはニバダの標準仕様であるソプロード製PO24キャリバーを搭載し、パワーリザーブは約38時間。ノンデイト仕様だと、ゴーストデイトポジションが生じる点は理想的と言えない。裏返すとペンギンの刻印が施されたデザインが現れる。こんな楽しいデザインなら文句はない。

今回のアンタークティック ダイバーは150本限定で、ノンデイト仕様とデイト表示付きモデルがそれぞれ75本ずつ製造される。販売価格は標準モデルと同じ995ドル(日本円で約15万円)に据え置かれており、グリーンダイヤルは限定モデルとしての個性を際立たせるユニークなカラーバリエーションとなっている。これが画期的かつ革新的なモデルかと言われれば、答えはノーだ。しかしニバダが手がけたハイパースタイライズドなデザインと鮮やかな発色は、定番とはひと味違うモデルを求める人にとってよい選択肢となるだろう。
ニバダ グレンヒェン アンタークティック ダイバー グリーン。ステンレススティールケース、直径38mm、厚さ12.9mm。ノンデイト仕様とデイト表示付きのグリーンダイヤル、ダブルドーム型サファイアクリスタル、両方向回転式セラミックベゼル、200m防水。ソプロード製自動巻きCal.PO24搭載。ストラップやブレスレットのバリエーションあり。価格は995ドル~(日本円で約15万円~)。

ルイ・ヴィトン×カリ・ヴティライネンによる新作LVKV-02 GMR 6が新登場。

レジェップ・レジェピから始まった5本限定シリーズの第2弾であるこの時計は、単なるGMTをはるかに超えた芸術品である。

タイのプーケットにて、ジャン・アルノー(Jean Arnaul)氏指揮のもと、ルイ・ヴィトンは現代を代表する独立時計師たちとの5部構成のコラボレーションの第2弾となる時計を発表した。今回ルイ・ヴィトンがタッグを組んだのはカリ・ヴティライネンで、ウォッチメイキングの技術と芸術性を融合させた作品に仕上がっている。その名もLVKV-02 GMR 6。ダイレクトインパルス式のデュアル脱進機を備えたGMTであり、ラ・ファブリク・デ・アール ルイ・ヴィトン(La Fabrique des Arts Louis Vuitton)の職人によるミニアチュール彩絵エナメル装飾と、ヴティライネンの工房による手仕上げのギヨシェ装飾が特徴だ。ケース素材にはタンタルとプラチナを組み合わせている。ブランドはこの時計を、シンプルにLVoutilainen(ルヴティライネン)と呼んでいる。

ルイ・ヴィトンとレジェップ・レジェピによるLVRR-01 クロノグラフ ア ソヌリでこのシリーズが幕を開けてから、1年半が経過した。今年1月、LVMH Watch Weekに際し、再編成されたルイ・ヴィトンが本格的にハイエンドウォッチブランドとしての地位を確立した瞬間だと述べたばかりである。しかしラ・ファブリク・デュ・タン(LFdT)は、レジェピとのコラボレーションに限らず複雑なオートマトンウォッチなどを通じて、すでに長きにわたりハイエンドな時計製造を実践してきた。

こちらは、LVRR-01の発表時にお届けしたレポートから引用した。
スーパーコピー時計 代引きLVRR-01 クロノグラフ ア ソヌリはきわめて多機能かつ特異なハイブリッドモデルであった。限定本数は10本、価格は45万スイスフラン(日本円で約7600万円)。セミスケルトン仕様で両面に表示を持ち、トゥールビヨンによって調速されるソヌリ・オ・パッサージュ・デ・ミニュット・ドゥ・クロノグラフ(拙いフランス語が正しければ)、つまりクロノグラフ作動中に経過する各分をチャイムで知らせる機構を備えている。ムーブメントはツインバレルで駆動し、ケースはジャン-ピエール・ハグマン(Jean-Pierre Hagmann)が設計したタンブールに着想を得た39.5mm×11.9mmサイズを採用している。表側にはスモークサファイアを用いた表示が配されており、これはブランドのスピン・タイムモデルからインスピレーションを得たもの。一方で裏側は、より伝統的なディスプレイでクロノグラフ機能が表示される。

今回発表されたウォッチコンセプトは、伝説的な時計師の技術を最大限に引き出すという点で変わっていない。しかしこの1年半で、ルイ・ヴィトンのラ・ファブリク・デュ・タンを取り巻く環境には大きな変化があった。再始動したダニエル・ロートとジェラルド・ジェンタのブランドはすでに本格的に動き出しており、タンブールもスティール、貴金属、セラミックといった多彩な素材を用いた完全なコレクションラインへと進化した。そこにはタンブール コンバージェンスや、きわめて複雑なタンブール・タイコ・スピン・タイムといったサブカテゴリも含まれる。ルイ・ヴィトン全体の売上における時計部門の比率はごくわずかであるため、ジャン・アルノー氏はリスクを取り、大胆な挑戦を行う自由を手にしているのだ。


今回のコラボレーション相手は、私が時計作品のみならずそのビジネス感覚や人柄においても深く敬愛している時計師、カリ・ヴティライネン(Kari Voutilainen)氏である。彼は年間製造本数が100本未満という小規模な独立時計師でありながら、ケースやダイヤルなども手がける複数の会社を擁するブランドへと成長させてきた。昨年にはGPHGでの受賞や、自身初のトゥールビヨンへの20周年オマージュ作品の発表など華々しい活躍を見せたばかりだが、2025年はさらに飛躍の年となる可能性がある。というのもヴティライネン氏が共同CEOを務める人気ブランド、ウルバン・ヤーゲンセンの再始動が今年半ばに予定されているからだ。
ヴティライネン氏は、伝統的でありながら卓越したウォッチメイキング技術で知られる存在となっている。彼の時計は現在でもやや厚みのある地板やブリッジを採用しており、これによりほかメーカーが接着剤を用いるような箇所でもすべてネジでパーツを固定できる。これによって、数百年先まで整備が可能な時計を実現しているのだ。また、傘下企業であるコンブレマイン社(Comblémine SA)を通じて、ダイヤル製作においても確固たる地位を築いており、数多くのブランドや独立時計師たちにダイヤルを供給する柱的存在となっている。その一方で、KV20iのようにダイヤル自体を廃した作品も手がけており、表裏反転という“インバース/リバース”コンセプトも、彼のブランドにおけるもうひとつの柱となっている。
ヴティライネン氏が複雑機構の真の達人であるという事実を、時計愛好家の新参者たちはまだ十分に理解していないのではないかと思う。ミニッツリピーターパーペチュアルカレンダーのような1点物や、わずか数本しか存在しないミニッツリピーターGMTなど、まさに夢のような時計を手がけてきたのだ。ルイ・ヴィトンとの次なるコラボレーションがヴティライネンだと聞いたとき、平凡な時計になるはずがないとは思っていた。しかし自分が見落としていた最大の要素は、芸術性だった。

LVKV-02 GMR 6はその名が示すとおり、本質的にはGMTウォッチである(“GM”がそれを示している)。一見するとシンプルに思えるかもしれないが、それはカリ・ヴティライネンが手がけるGMTに限っての話ではない。今回のモデルは、ルイ・ヴィトンのトランク製造の歴史(世界を旅する人々のためのラゲージ)へのオマージュというコンセプトに基づいている。“R”は12時位置に配されたレトログラード式パワーリザーブインジケーターを意味し、“6”はダイヤル上にある24時間表示のGMTインダイヤルの位置(6時)を指している。
GMTディスクは24時間で1回転し、着用者の“ホームタイム”を表示するように設定される。一方で時針は、旅先でのローカルタイムを示すために独立して調整可能であり、これはリューズを押すことで簡単に操作できる仕組みとなっている(この操作により巻き芯とGMT機構が連動して作動する)。カリ・ヴティライネンはこれまでにも、GMRやGMT-6といったGMT機能搭載モデルを手がけてきたが、それらはGMTインダイヤルのほうを調整する仕様であった。今回のモデルではその方式が逆転しており、時針を調整する新たなバリエーションとなっている。これは完全新設計のキャリバーを搭載したレジェップ・レジェピ LVRR-01とは対照的だ。今回のLVKV-02 GMR 6におけるコストの大部分は、ラ・ファブリク・デュ・タンとヴティライネン氏による手仕事の装飾工芸にある。とはいえまずは時計全体の構成を見ていこう。
 GMTウォッチにふさわしく、本作には“エスカル”ケース(フランス語で寄港地、経由地の意)が採用されている。ケース素材はタンタルで、サイズは40.5mm×12.54mm。ベゼル、裏蓋、ラグ、リューズ、バックルにはプラチナが用いられている。各ラグの仕上げには約1時間を要し、まずはカブロナージュ(紙やすりをスティックにしたもの)によって整形し、そのあとポリッシュとエッジ出し(研ぎ)が行われる。さらにタンタル製ケースは手作業によるサテン仕上げで、これに追加で4時間がかかる。裏蓋には“Louis cruises with Kari(ルイはカリと旅をする)”というフレーズが刻まれており、この彫刻には12時間を要するという。この刻印は独立時計師との本シリーズにおける共通タイトルとなっている。
リューズボタンによるGMTという機能的な特徴に加え、このムーブメントはほかのヴティライネン作品と同様に、高度に洗練された技術仕様を備えている。2011年以降ヴティライネン氏が採用しているように、本作にも大型のテンプと、外側にフィリップスオーバーコイル、内側にグロスマンカーブを持つヒゲゼンマイが用いられている。これによりヒゲゼンマイの内側と外側の曲率に等しい張力を与えることができ、最高レベルの精度を実現している。さらにこの時計ではふたつの脱進輪が、止め石を介して直接テンプにインパルスを与えるダイレクトインパルス方式が採用されている。これはスイスレバー脱進機よりも効率的かつ安定的に動作するよう設計されており、1時間あたり1万8000振動/時で作動、パワーリザーブは約65時間に向上している。地板とブリッジにはジャーマンシルバー(洋銀)が使われており、ムーブメントを構成する254個すべてのパーツが極限までていねいに仕上げられている。
ムーブメント側(ヴティライネン作品において常に個人的なお気に入りポイントのひとつ)はダイヤル側への流れとしても絶好の導入部である。なぜなら前面と背面をつなぐ、精緻なエナメル装飾がそこに共通して存在しているからだ。香箱にはラ・ファブリク・デ・アール ルイ・ヴィトン(ラ・ファブリク・デュ・タンのメティエ・ダール部門)所属の職人マリナ・ボッシー(Maryna Bossy)氏による多色のミニアチュール彩絵が施されている。素材はホワイトゴールド製のラチェットアップリケで、27色を描くのに16時間、焼成は5回に分けて行い、合計8時間にもおよぶ。
ダイヤル正面には、ルイ・ヴィトンとカリ・ヴティライネンという両ブランドのダイヤル製作アトリエが持つ最高峰の技術が、ほぼすべて投入されている。マリナ・ボッシー氏はミニアチュール彩絵とダイヤモンドポリッシュが施されたアワーサークルを担当。デザインは古代のステンドグラスに着想を得たもので、28色を用い、1本あたり32時間をかけて描かれている。ゴールド製のダイヤル中央にはヴティライネン氏の工房による手仕上げのギヨシェ装飾が施されており、これはルイ・ヴィトンの“ダミエ”モチーフへのオマージュである。使用されたのは18世紀にさかのぼるギヨシェ機械で、ヴティライネン氏によれば完成までに4日間を要したという。
ヴティライネン氏のアトリエはまた、GMTインダイヤルに配されたデイ・ナイト表示用の太陽と月のモチーフも手がけている。このインダイヤルは手彫りによる装飾が施されており、ルイ・ヴィトンを象徴するサフランとブルーのカラースキームで彩られている。さらに微妙なグラデーションのなかには、ルイ・ヴィトンのモノグラム・フラワーのシェイプがさりげなく隠されている。最後の“ルイ・ヴィトンらしい仕上げ”として、ブランドはダイヤルとムーブメントの両方にLVロゴとヴティライネン氏の姓の頭文字“K”を組み合わせたモノグラムを配している。LVRR-01と同様に、各時計には特注のルイ・ヴィトン製トラベルトランクが付属し、ダイヤルのモチーフやシリアルナンバー、そして“Louis cruises with Kari”のフレーズが、ルイ・ヴィトンの職人によってハンドペイントされている。

カルティエが再びオートマティックに、数十年ぶりに自動巻きキャリバーが搭載された。

カルティエはその節目を記念して、新たなモデルをコレクションに加えた。長い歴史を誇るタンク LC(ルイ カルティエ)の新作で時計界を驚かせるのは容易ではないが、今回のタンク LC オートマティックは、その難題を見事にクリアしてみせた。

© Cartier
昨年発表されたミニモデルによって、タンク LCコレクションはすでに完成の域に達したようにも見えた。だが予想を裏切るかたちで、カルティエはこの最もコピーされたデザインをサイズアップし、自動巻きキャリバーの搭載を実現した。私の記憶が正しければ、タンク LCに自動巻きムーブメントが搭載されるのは、1974年に登場し、いまや高いコレクターズバリューを誇るオートマティック“ジャンボ”のデュオ以来、初めてのことである。


2025年、新たに登場するタンク LC オートマティックは、縦38.1mm×横27.75mm、厚さ8.18mmのケースサイズ。ローズゴールドとイエローゴールドの2種展開で、ダイヤルにはサンバーストにも似た独特の表情が与えられている。


カルティエコピー 激安はタンク LCの美学に対して非常に慎重であり、そのデザインから大きく逸脱することは滅多にない。現在のラインナップではクォーツモデルにグレイン仕上げのダイヤルが採用され、手巻き式のタンク LCにはカルティエのクラシックなギヨシェ模様を模したビーズ仕上げのダイヤルが用いられている。ただ今回の新作では、針の軸を中心として放射状に広がる、いわばサンバースト仕上げ風のダイヤルパターンが採用されており、その模様はダイヤルの縁にまで達している。この仕上げは、私たちがこれまで見てきたカルティエのダイヤルとは明らかに異なっており、フルローターの自動巻きキャリバーをさりげなく想起させる、隠れたオマージュとも受け取れる表現である。

© Cartier
外観のディテールにおいて、新作タンク LC オートマティックはこれまで親しまれてきた従来のタンク LCにほぼ準じている。ブルースティール製のソード型時・分針、タンク LCらしく秒針は非搭載、そしてセミマット仕上げのクラシックなアリゲーターレザーストラップが組み合わされる。ケースと同色のビーズ装飾付きリューズには、サファイアカボションがあしらわれている。
搭載されるCal.1899 MCは、2023年に刷新されたタンク アメリカンで初登場したもの。当時カルティエは、この新しい自動巻きムーブメントが従来のものより薄型であり、新モデルを以前よりもおよそ1mm薄くすることを可能にしたと説明していた。

我々の考え
タンク LCを語るうえで、サイズは非常に重要な要素である。世紀にわたるデザインに幾度となく手を加えてきたカルティエは、常にあらゆる好みや手首のサイズに応える多彩なバリエーションを展開してきた。タンク LCのサイズを拡大するという試みもひとつの進化だが、今回の新作で特筆すべきはラインナップの拡充と同時に、自動巻きの復活を果たしたことだ。

© Cartier
1974年に発表されたオートマティック仕様のタンク LC“ジャンボ”は、ここ数年で一層注目を集めており、ヴィンテージカルティエ全体への関心の高まりを差し引いてもその人気ぶりは際立っている。“ジャンボ”と呼ばれるモデルは実は2種類存在し、小さいほうは33.5mm×25.5mm、大きいほうは34.5mm×28mmのケースサイズとなっている。これに対して、今回のタンク LC オートマティックは38.1mm×27.75mmと、両者よりも大きいものの、カルティエ現行のタンク マスト XLが41mm×31mmであることを考えると、極端な大型化とはいえない。このような背景を踏まえると新作タンク LC オートマティックにふさわしいサイズ呼称を与えるとすれば、ジャンボが適切だろう。LMの呼称は、ルイ カルティエには似合わない。
時計メディアや“インフルエンサー”たちがこぞって小径時計回帰を叫ぶなかで、今回の新作はその潮流に逆らうかのようにも見える。あるいはカルティエがトレンドを読み違えたのでは...そんな辛口の見方もできるだろう。だが、ここでリー・コルソ(Lee Corso)氏の言葉を借りよう。“ちょっと待った、友よ”。私の見解だとカルティエは今回、現代的な過剰サイズに陥ることなく、タンク LCにおける大きめの選択肢を見事に提示してみせた。正直、プレスリリースを開いたとき、ケース径の数値が4で始まっているのではと身構えたものだ。

© Cartier
このリリース自体にはもちろん驚かされたが、そのサイズ感がXLに走らず、抑制の効いたものであったことにも意外性を感じた。ただ振り返ってみると2023年のタンク アメリカン ラージと、それに搭載された新型の薄型自動巻きキャリバーを経て、この展開は予兆として存在していたのかもしれない。昨年のタンク ミニで巧妙に煙に巻かれた感はあるが、このムーブメントがタンク アメリカンに適しているのであれば、いずれタンク LCにも搭載されることは予見できたはずなのだ。

基本情報
ブランド: カルティエ(Cartier)
モデル名: タンク LC LM オートマティック(Tank Louis Cartier Automatic)
型番: CRWGTA0346(RG)/CRWGTA0357(YG)

直径: 38.1mm×27.75mm
厚さ: 8.18mm
ケース素材: ローズゴールドまたはイエローゴールド
文字盤: シルバー(サンレイ風仕上げ)
インデックス: ローマ数字
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: セミマット仕上げのアリゲーターレザーストラップ

© Cartier
ムーブメント情報
キャリバー: 1899 MC
機能: 時・分表示
巻き上げ方式: 自動巻き
パワーリザーブ: 約38時間
振動数: 2万8800振動/時

チューダー2025年の新作を会場から実機でご紹介/2025.7.28

人気モデルであるブラックベイ 58を改良し、さらに小型のブラックベイ 54を発表してきたチューダーは今回、コレクションを“華奢すぎる”と感じていたユーザーに向けたニュー大型モデルを投入した。それが、新たに43mmケースを採用したブラックベイ 68である。METAS認定クロノメータームーブメント、伝統的な3連ブレスレット(マイクロアジャスト付き)、そして2種類のダイヤルカラーを備えて登場した。

 前述のとおり、新しいブラックベイ 68はドーム型のサンバースト仕上げが施されたシルバーまたはチューダーブルーのダイヤルを備え、ブレスレットからは、これまで一部不評だったフェイクリベットとゴールドのアクセントがともに取り除かれている。その結果、昨年登場した41mm径のチューダー ブラックベイ “モノクローム”よりもさらに大きく、モダンな印象を強調するデザインとなった。手首の太いユーザーにも対応するサイズ感であり、やや大型化されたマニュファクチュールCal.MT5601-Uを搭載している。

 2モデルともに価格は66万3300円(税込)で、チューダー正規販売店で販売される。

我々の考え
背の高い自分にはもっと大きな時計をつけるべきだと、誰もが口をそろえて言う。しかし自分が初めて“本格的”に購入した時計はブラックベイ 58であり、ほぼ完璧といえるほど気に入っているモデルだ。もちろん、チューダーが言うようにサイズバリエーションの拡充を求める声が多く、品質を損なうことなくそれに応えたのは正しい判断だろう。しかし、ここまで大きくするとは正直驚いた。41mmのモノクロームが素晴らしい出来である以上、このサイズアップにどれほどの魅力があるのか、正直まだわからない。その一方でユーザーから長らく要望されてきたマイクロアジャスト付きのブレスレットや、3連ブレスレットからリベット風デザインを廃した点は確かに魅力的だ。自分にとって完璧かと言えばそうではないが、かなり近い。多くの新作で、いつもそうやって折り合いをつけてきたものだ。

 チューダーがこのモデルをブラックベイ 68と名付けたのは、正直おもしろいと思っている。というのも同モデルを含め、ほぼすべてのチューダーウォッチに採用されているスノーフレーク針は、ブランド自身の記録やプレスリリースによれば実際に登場したのは1969年のことだからだ。もちろんスノーフレーク針は、今やチューダーを象徴する意匠であり、ロレックスが今も使い続けるメルセデス針との差別化にもなっている。しかし、それならいっそのことブラックベイ 69やブラックベイ 70と名付けたほうがよかったのではないか、と思ってしまうのだ。

基本情報
ブランド: チューダー(Tudor)
モデル名: ブラックベイ 68(Black Bay 68)
型番: M7943A1A0NU-0001(ブルー)/M7943A1A0NU-0002(シルバー)

直径: 43mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: シルバーまたはチューダーブルー(ドーム型のサンバースト仕上げ)
インデックス: アプライド
夜光: あり、グリーンのスーパールミノバ
防水性能: 200m
ストラップ/ブレスレット: 3連のステンレススティール製ブレスレット(サイドはスムース、表面はポリッシュおよびサテン仕上げ)、チューダー独自の“T-fit”クイックアジャストクラスプ


ムーブメント情報
キャリバー: 自社製MT5601-U
機能: 時・分表示、センターセコンド
直径: 33.8mm
パワーリザーブ: 約70時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 25
クロノメーター: あり。COSCおよびMETAS認定 マスタークロノメーター

価格 & 発売時期
価格: 66万3300円(税込)
発売時期: すぐに
限定: なし

パネライパーペチュアルカレンダーGMTがプラチナテック™Ref.PAM01575仕様で登場した。

パネライは新作ルミノール パーペチュアルカレンダー GMT プラチナテック™ PAM01575を発表した。本作は、2022年に発表された33本限定のルミノール ゴールドテック™ パーペチュアルカレンダー PAM01269の後継モデルである。PAM01269が初めて登場した際、そのスモーク仕上げのサファイアダイヤルと複雑機構の組み合わせにより、間違いなくパネライにおける最もモダンな時計のひとつとして印象付けた。

この新たなプラチナテック™バージョン(詳細は後述する)は、初代モデルのわかりやすい続編となっており、クラシックなパネライのアプライドインデックスとアラビア数字はそのままに、文字盤下層に配されたデイ・デイトディスクがさりげなく透けて見える仕様となっている。ダークブルーの色調を帯びたサファイアダイヤルには、ブランドのルミノールロゴ、スモールセコンド秒針用のスケール、さらに3時位置のデイ&デイト表示窓を囲むふたつのメタルフレームがプリントされている。スモールセコンド秒針のスケールはAM/PM表示も備えており、24時間表示のインダイヤルとしても機能する。さらに、そのスモールセコンド秒針の下にはデイナイトを示す小さなダークブルーの矢印を配置。またGMT機構用として、センターポストより大きなダークブルーの矢印針が伸びている。


パネライ コピー n級が届くこのパーペチュアルカレンダーは、44mm径のルミノールケースに収められており、ケース右側にはアイコニックなパネライのリューズガードが付いている。今回のモデルはプラチナテック™製であり、ブランドによれば金属に施された特殊処理によって、標準的なプラチナ950と比較して硬度が40%向上し、それに伴い耐傷性も高められているという。

パーペチュアルカレンダーGMTでありながら、PAM01575のダイヤル側は驚くほどミニマルな仕上がりとなっている。しかし時計を裏返すと、通常は表側に配される多くの表示が裏側に移されていることがわかる。パネライ自社製Cal.P.4100には、月、年、さらにはうるう年の表示がある。この自動巻きムーブメントはゴールド製マイクロローターを搭載し、ふたつの香箱によって3日間のパワーリザーブを確保。その残量はローター横の小さなディスクに表示される。特筆すべきは、このキャリバーではパーペチュアルカレンダーのすべての調整をリューズひとつで行うことができ、一般的に用いられるケースサイドの埋め込み式プッシュボタンは一切必要ないということ。また調整時には誤操作防止の設計が施されており、一般的に制限がかかる深夜帯や年末年始においても、進める・戻すの操作が安全に行える。つまり、キャリバー内に年表示機構が搭載されていながら、設定ミスによって時計を壊す心配は皆無なのだ。加えてデイトディスクは衝撃吸収システムによって安定化されており、複雑なムーブメントでありながら日常使いにも十分に耐える設計となっている。防水性能は50mで、このパーペチュアルカレンダーは水辺での使用にも適している。
PAM01575には、ダークブルーのアリゲーターストラップに加え、ブルーのラバーストラップが付属する。本モデルはパネライブティック限定での展開となり、価格は1120万9000円(税込)だ。

我々の考え
パネライのケースは、少なくともクラシックなモデルに関しては私の好みからすると大きすぎることが多い。しかし、オリジナルのゴールドテック™ パーペチュアルカレンダーがサファイアダイヤルを備えて登場したときには、思わず目を奪われた。パネライがハイエンドなコンセプチュアルピースを開発するとなると、私はたいていロ シェンツィアート ルミノール PAM00578のような、大胆なスケルトンダイヤルの時計を思い浮かべる。もちろん、それらもクールではあるものの、このデザインのサファイアダイヤルは、より抑制の効いたモダンな表現によって、私の関心を強く引きつけた。

正直に言えば、オリジナルのゴールドテック™ バージョンを見たときその印象だけで受け止めてしまい、実際のP.4100ムーブメントについてはあまり詳しく調べていなかった。しかし、発表された今回のプラチナテック™バージョンをきっかけに、その世界にすっかり引き込まれてしまった。そして改めて、このキャリバーには強く感銘を受けた。2021年に発表されたこのキャリバーは、ムーブメントに関してさまざまな議論の歴史を持つパネライにとって、まさに大きな追い風となる存在であり、ブランドのエンジニアリング能力を余すところなく示している。ケースがホワイトメタル製であることにより、新作PAM01575は前作のフルゴールド仕様よりもさらに控えめで目立たない佇まいとなり、あらゆるシーンで無理なく着用できる、非常に興味深いコンプリケーションとなっている。

基本情報
ブランド: パネライ(Panerai)
モデル名: ルミノールパーペチュアルカレンダーGMT プラチナテック™(Luminor Perpetual Calendar GMT Platinumtech)
型番: PAM01575

直径: 44mm
ケース素材: プラチナテック™
文字盤: ダークブルー調サファイア
インデックス: アプライド
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: アリゲーターストラップおよびラバーストラップ付属

ムーブメント情報
キャリバー: Cal.P.4100
機能: 時・分表示、スモールセコンド、デイナイトインジケーター、永久カレンダー(日付・曜日・月・年・うるう年表示)GMT、パワーリザーブインジケーター
直径: 35.1mm
厚さ: 7mm
パワーリザーブ: 約3日間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 55
追加情報: 特許取得済みデイト衝撃保護システム、特許取得済みGMTスプリング搭載

価格 & 発売時期
価格: 1120万9000円(税込)
発売時期: パネライブティック限定
限定: なし、ただし年間生産数に制限あり