2025年11月

ショパール マニュファクチュール設立30周年を祝して発表。

ショパール「L.U.C グランド ストライク - The Sound of Eternity 」、メゾン史上最も複雑なチャイム機構を搭載したタイムピース~

L.U.C グランド ストライク - The Sound of Eternity~フルリエに拠点を置くショパール マニュファクチュール設立30周年を祝し、メゾン史上最も複雑なチャイム機構を搭載したタイムピースを発表


ショパール マニュファクチュールから、卓越した機械式時計のマスターピース「L.U.C グランド ストライク」が誕生しました。スイスのウォッチメーカーであるショパールが、開発・設計から製造に至るまで、すべての生産工程を自社内で手がけたこのタイムピースは、グランソヌリ、プチソヌリ、ミニッツリピーターを備え、長年にわたって培ってきた機械技術の粋を結集したサファイアクリスタル製ゴングによるチャイム機構を搭載しています。

 

「L.U.C グランド ストライク」は、ショパール共同社長のカール‐フリードリッヒ・ショイフレが主導してきた、数十年にわたるソヌリ開発の集大成として結実したクリエイションです。

11,000時間以上におよぶ集中的な研究・開発の成果として誕生した「L.U.C グランド ストライク」は、ショパール マニュファクチュール史上最も複雑なタイムピースであり、新たに開発された5件を含む、計10件の独自技術特許を有しています。その性能は、厳格な社内テストに加え、ジュネーブ・シールおよびCOSC(スイス公式クロノメーター検定局)による認定によって証明されており、同タイムピースは現代のハイコンプリケーションにおいても、最も総合的な評価が高いグランソヌリであることが公式に認められています。

このタイムピースのデザインは伝統的なフォルムと現代的な美学を融合させ、洗練された控えめな曲線を描きながら、文字盤を排した構造によって、686の部品からなるキャリバー「L.U.C 08.03-L」がケースの中で時を刻む優美な姿を披露しています。

「ショパールは、いつの日かグランソヌリを完成させることを常に目標としてきました。『L.U.C グランド ストライク』を一目見れば、30年間にわたってファインウォッチメイキングの分野で創造と革新を重ねてきた、その集大成を見て取ることができるでしょう。チャイムの音色に耳を傾ければ、ショパール マニュファクチュールに息づくオートオルロジュリーのリズムが聞こえてくるでしょう。そして、その響きに心を動かされるならば、それは私たちのウォッチメイキングのスピリットとあなたの感性が共鳴しているからに他なりません」
カール‐フリードリッヒ・ショイフレ


30年間にわたるイノベーションの集大成
「L.U.C グランド ストライク」は、ショパール マニュファクチュールにおける約20年におよぶソヌリ開発のノウハウと、10年におよぶサファイアクリスタルのモノブロック技術の蓄積を礎とし、合計686のムーブメント部品で構成されるマニュファクチュール史上最も複雑なタイムピースです。このプロジェクトには、初期段階の試行的な研究や技術設計、実用的なプロトタイプの製作に至るまで、11,000時間以上も費やされました。そのうち2,500時間以上はプロトタイプの微調整に充てられ、最終製品がマイクロメカニカルな完成度の極致にまで達するべく、手が尽くされました。

 

直径43mmという極めてコンパクトな18Kエシカルホワイトゴールド製ケースに収められた高精度のキャリバー「L.U.C 08.03-L」が、完全なオープンワークの文字盤からその全体像を現します。ケースデザインの控えめで端正な曲線とプロポーションにより、視線はムーブメントへと導かれ、その繊細なメカニズムを余すところなく堪能することができます。10時位置には、ポリッシュ仕上げのふたつのスティール製ハンマーが配され、このタイムピースがチャイミング機構を備えていることを明確に示しています。巻き上げおよび時刻設定用のリューズの隣には、エルゴノミックなデザインのスライド式セレクターが設けられ、グランソヌリ(G)、プチソヌリ(P)、サイレント(S)の3つのソヌリモードを切り替えることができます。

文字盤の下半部には60秒トゥールビヨンが配され、COSC認定ムーブメントの性能を視覚的に体現しています。トゥールビヨンの絶え間ない回転と、チャイミング機構の巧みな動作によって、「L.U.C グランド ストライク」は、身に着ける人がそれを眺めるたびに機械式時計の驚異を存分に体感できる魅惑的なクリエイションです。

 

ショパールの時計製造における卓越性と革新性を象徴する特許取得のサファイアクリスタル製ゴングは、文字盤と一体のモノブロック構造で機械加工されています。ウォッチメイキングの歴史において前例のない素材であるサファイアクリスタルを用いたこの独自の構造こそが、「L.U.C グランド ストライク」に比類なき音響特性をもたらしています。

 

サファイアクリスタル製ゴングに加え、「L.U.C グランド ストライク」の製作には、出願中および/または取得済の特許がさらに9件採用され、ショパール マニュファクチュールの革新的なスピリットを改めて証明しています。これらの特許は、ムーブメントを偶発的な誤操作から保護する重要なセキュリティー機構から、チャイミングのテンポを最適化する改良まで、「L.U.C グランド ストライク」のあらゆる機能面を網羅しています。そのうちの5件については、このタイムピースのために新たに申請された特許であり、メゾンの核となる“革新に支えられた技術力”のたゆまぬ進化を象徴しています。


「L.U.C グランド ストライク」は長年にわたる開発の過程において、技術的側面と美的側面の両立を念頭に、両者を完全に調和させることを目指して構想されました。最終的に完成したクリエイションはその理念の結実であり、オートオルロジュリーの卓越性と洗練を尽くした優美なデザインとが見事に融合を遂げています。


音のレガシーを紡ぐ
新世紀の幕開けとともに、ショパール共同社長カール‐フリードリッヒ・ショイフレは、マニュファクチュールをチャイミングウォッチの領域へと導く最初の一歩を踏み出しました。それは、「L.U.C グランド ストライク」がショパールの“一部”となることを運命づける始まりでもありました。2006年の「L.U.C ストライク ワン」の発表からわずか1年後、彼はメゾンの研究・開発チームとショパール独自のグランソヌリムーブメント開発の可能性についての議論を開始しました。

「L.U.C グランド ストライク」のような時計製造の金字塔となるクリエイションを生み出すための技術を習得することは、それ自体が壮大な挑戦でした。しかし、ショパールにとって重要だったのは、単に専門知識を習得することだけではなく、それを超えた“真の熟練技”――完璧な技術の実現に留まらず、真の意味での“革新”へと歩を進めること――それこそがメゾンが目指す到達点だったのです。

 

「L.U.C グランド ストライク」の源流は、伝統的な複雑機構を備えた「L.U.C オール イン ワン」(2010年)から、複数の特許を有する「L.U.C 8HF」(2012年)にまで遡ることができます。これらのクリエイションは、真のクラシシズムから妥協を許さない最先端の現代的アプローチに至るまで、時計製造におけるあらゆる領域を網羅するショパール マニュファクチュールの多面的な創造性と柔軟性を体現しています。

キャリバー「L.U.C 08.03-L」を構成する精微な機構の一つひとつが、機械式時計製造のあらゆる側面に精通した深い理解のもとに設計されています。すべてのソヌリウォッチの基盤となるマルチバレル(多重重箱)構造は、4つの香箱を備えた「L.U.C クアトロ」をはじめとする、卓越した動力分配システムを有する名機の開発を通じて培われた知見によってさらに進化を遂げています。また、「L.U.C グランド ストライク」の60秒トゥールビヨンは、L.U.C 02系のトゥールビヨンムーブメント開発で蓄積された自社の経験に基づき、極めて厳格な制度基準を実現しています。さらに、時計製造において標準とされるソヌリ機構の瞬時起動においても、「L.U.C ルナ ワン」のようなジャンピング表示を備えた複雑なカレンダーの開発から得られた知見を活かし、より洗練された完成度へと磨き上げられています。

 

2016年、ミニッツリピーター「L.U.C フル ストライク」は、完璧なチャイム音の追究というマニュファクチュールのコミットメントをさらに明確に示しました。それは単にショパールのソヌリ技術革新を際立たせただけでなく、オートオルロジュリー業界における新たな知見をもたらす革命的出来事でもありました。「L.U.C フル ストライク」は、チャイミングウォッチ史上初めて、スティールではなくサファイアクリスタル製ゴングによって、時、15分、分を打ち鳴らすことに成功しました。

サファイアクリスタル(単結晶酸化アルミニウム)の音響特性は以前からよく知られていましたが、繊細な素材の性質ゆえ、時計業界ではサファイアクリスタル製のゴングの実用化は不可能とされ、それを試すことすら困難であるという共通認識がありました。その常識を覆し、誰も成し遂げたことのなかった領域に踏み込み、成功を収めたのがショパール マニュファクチュールだったのです。

「L.U.C フル ストライク」は、不可能を可能にしたモデルとして知られるようになり、2017年のジュネーブ時計グランプリ(GPHG)においてその偉業は認められ、最高賞である「金の針賞(Aiguille d’Or)」の栄誉に浴しています。


キャリバー「L.U.C 08.03-L」:複雑機構と特許技術の集大成
今日、ショパールはソヌリ機構の“旅”に新たな章を刻みます。「L.U.C グランド ストライク」の誕生です。このタイムピースは、チャイミング機構の中でも最も格調高いグランソヌリを搭載し、時・15分・分ごとに正確に時を知らせます。

また、チャイム音の少ないプチソヌリモードに切り替え、1時間ごとに時を、その後は15分ごとに時を知らせることができます。「L.U.C グランド ストライク」の自動チャイムは、必要に応じて完全に停止させることもでき、その際はミニッツリピーター機能を手動で作動させた場合にのみ時刻を打ち鳴らします。

 

手動(ミニッツリピーター)または自動(グランソヌリ/プチソヌリ)でチャイムを作動させるたびに、34の部品が一斉に動き出し、正確かつ明瞭に時刻を告げます。これらの部品は、手作業による調整が施された板ばね(ブレードスプリング)によって制御され、待機状態から作動可能な状態に移るまでにかかる時間はわずか0.03秒です。これらのメカニズムは、舞台上でスポットライトを浴びるハンマーとゴングを支え、完璧な調和を見せるバレエ団のようです。作動準備が整った後に繰り広げられる“機械仕掛けの舞”では、レバーが下がり、カムが伸び、ラックが前進――そして、ついにハンマーがゴングを打ち、美しい音色が鳴り響く最高潮の“見せ場”を迎えます。

 

このタイムピースには、60秒トゥールビヨンを含む多彩なクロノメーター機能を駆動させるために、計686のムーブメント部品が使用されています。トゥールビヨンの上部にはスモールセコンドが配置され、このウォッチに搭載された計時精度を絶え間なく、しかしさりげなく表示しています。「L.U.C グランド ストライク」は、ジュネーブ・シールとCOSC(スイス公式クロノメーター検定局)のダブル認証を取得しており、その品質と精度が公式に保証されています。


 
ムーブメントのエネルギー消費が極限に達した状態でも時計の性能を維持することを保証するため、「L.U.C グランド ストライク」は、プチソヌリモードでもCOSCの認証を取得しています。プチソヌリは、一見するとグランソヌリよりも省エネルギー効果が高いように思われますが、実際にはグランソヌリよりもエネルギー消費量が多くなります。これは、15分ごとに打鐘を抑制する機構がチャイミングシステムに対してブレーキとして機能し、実質的にパワーリザーブを消費するためです。

 

「L.U.C グランド ストライク」は、トゥールビヨンをはじめとする計時機能に加え、膨大な数の部品と多彩なチャイム機構を搭載しているにもかかわらず、直径わずか43mm、厚さも14.08mmに抑えられています。これは時計製造における“小さな奇跡”と呼ぶべき構造であり、サイズとエネルギー効率の双方が求められる現代生活において、理想的なバランスを実現したモデルです。

エネルギー効率の要件を満たすため、自社製手巻きキャリバー「L.U.C 08.03-L」は、ふたつのゼンマイ香箱を備えており、ひとつは計時機能用、もうひとつはチャイミング機構専用としてそれぞれ独立しています。ソヌリ用の香箱は完全に巻き上げられた状態で、チャイムを頻繁に鳴らすグランソヌリモードにおいても、12時間途切れることなく作動し続けます。

 

テンプの振動数を考慮すると、70時間というパワーリザーブは、このような高度な複雑機構を備えたウォッチとしては特筆すべきものです。「L.U.C 08.03-L」の振動数は4Hz(毎時28,800振動)であり、これはスポーツウォッチとしては標準的な数値ですが、このレベルの複雑時計としてはかなり高い数値となります。「L.U.C グランド ストライク」は、一切の妥協を排して現代の高性能ウォッチに求められる厳格な基準を実現することで、クロノメトリー性能を確実に保証しているのです。

高精度は、ストップセコンド機能を搭載した時刻表示システム自体によって支えられています。リューズを引き出して時刻設定位置にすると、スモールセコンド針が停止し、秒単位まで正確に時刻を合わせることが可能です。こうして、ムーブメントのクロノメトリー性能が、文字盤の表示を通して余すところなく発揮されています。

優れた計時性能と表示精度に加え、「L.U.C グランド ストライク」は長年の使用にも耐えうる堅牢性を備えています。ショパール マニュファクチュールでは、プロトタイプの段階から「L.U.C グランド ストライク」の社内品質管理を実施しています。2種類のソヌリモードをそれぞれ同数ずつ、合計62,400回作動させる試験を行い、わずか3ヶ月で5年間の使用状態をシミュレートする加速プロセスを実施しました。ミニッツリピーターについては、リューズプッシャーで連続3,000回作動させ、ムーブメントの長期使用への耐久性を検証しています。全工程を通して、サファイアクリスタル製ゴングはこの厳格なテスト中に50万回以上打鐘され、自社製キャリバー「L.U.C 08.03-L」が誇る耐久性と信頼性が実証されています。


クリスタルクリアな音色
「L.U.C グランド ストライク」には、ショパール マニュファクチュールに受け継がれてきた数十年にわたる時計製造の伝統が息づいていますが、その核となるのが“革新性”です。ショパールは、ソヌリウォッチの製作工程により高い精度と専門性を追求するため、ジュネーブにある工科大学 HEPIA(Haute Ecole du Paysage, d'Ingénierie et d'Architecture: ジュネーブ高等造園・工学・建築学校)と密接に連携し、メゾンのシグネチャーであるチャイムの技術的特性を解析しました。その結果導きだされた知見によれば、サファイアクリスタル製チャイミングシステムとスティールゴングを用いた従来の構造とは明確に異なる3つの要素が明らかになりました。

第一の特徴は、そのモノブロック構造にあります。従来のチャイミングウォッチは、円形断面のポリッシュ仕上げのスティールゴングを使用し、これをムーブメントにネジで固定します。伝統的なソヌリのチャイムは、ハンマーがゴングを叩くことで、音響エネルギーが振動波としてウォッチ全体に伝わり、文字盤のクリスタルを伝わって空気中を伝播することで発生します。しかし、この間接的な音の伝達方法は、ゴングの固定部やムーブメント、さらにはケースなど複数の箇所でエネルギーが損失し、チャイム全体の響きが減衰してしまいます。これに対し、ショパール独自のチャイミングシステムでは、一塊のサファイアクリスタルから機械加工により削り出したゴングと文字盤のクリスタルを一体化させています。ハンマーがこのサファイアクリスタル製ゴングを打つと、文字盤のクリスタル全体が共鳴・振動し、音が直接外部へと伝わります。その結果、ムーブメントやケースによるエネルギー損失を最小限に抑えることができ、チャイムの音色がより明瞭で純粋なものとなります。

第二の特徴は、サファイアクリスタル製ゴングの形状にあります。従来のスティール製ゴングが円形の断面を持つのに対し、ショパールのサファイアクリスタル製ゴングは直交(角形)断面を採用しています。これは運動エネルギー伝達の原理に基づいた設計であり、ソヌリハンマーとゴングの接触面積を拡大することで、より効率的なエネルギー伝達を可能にしています。さらに、この角形断面は、円形断面のゴングとは異なる音響特性も備えています。ゴングの長手方向に沿った直角構造は、音波の振動を特定の方向へ導く「音の偏光フィルター」のような役割を果たします。この複雑な振動パターンにより、耳に心地よく響き、調和と質感を兼ね備えた豊かで重層的なチャイム音が効果的に生み出されます。

第三の特徴は、サファイアクリスタルそのものの原子構造にあります。この素材が持つ特性こそが、現在製造されているすべてのショパール製ソヌリにまぎれもない品質を与えています。サファイアの単結晶構造から生み出されるチャイムは、優美でありながらパワフルで、澄み渡りながらも豊かに共鳴する――その響きは、いかなるスティール製ゴングでも再現することができません。さらにサファイアクリスタルはダイヤモンドに次ぐ硬度を誇り、金属のように物理的な変形を生じることがありません。そのため“永遠の響き(Sound of Eternity)”と名付けられた独特の音色が生まれるのです。

「L.U.C グランド ストライク」のチャイム音は、「C# – F♮ 」の和音に調律されており、この音程が安定と調和を生み出しています。

この比類なきチャイムを支えるムーブメントの性能をさらに高めるため、ショパール マニュファクチュールは、5件の新たな特許技術を開発・出願しました。そのうちの2件は、使用上の安全性に関するもので、「L.U.C グランド ストライク」の着用者は、ムーブメントに損傷を与えることなく、いつでもチャイム機構を作動させることができ、またチャイムモードを切り替える際にも時刻表示に誤差が生じないよう設計されています。これらの特許から、ショパールが実生活において直感的に使用できるウォッチの開発に力を注いでいることが理解できます。

残る3件の新しい特許は、いずれもパフォーマンスの最適化に特化したものです。まず1件目は、ソヌリチャイムの起動に必要なトルクを低減するエネルギー効率の高い新しいクラッチ機構の開発で、これによりソヌリ香箱のパワーリザーブを効果的に延長することができます。2件目は、トルクが不足している場合、ソヌリチャイムの起動をブロックする機構に関するもので、これによりチャイムの途中停止や不完全な打鐘を回避できます。3件目については、ハンマーの形状を再定義し、慣性モーメントを変化させることで、偶発的な衝撃が発生した場合に、サファイアクリスタルゴングへのダメージを最小限に抑える設計です。この追加の安全性をチャイム音の品質を損なうことなく実現するために、特別な努力が払われました。

ショパール マニュファクチュールでは、時計とそれを身に着ける人の双方にとって意義ある進化を追求しています。


フォルムと機能の完璧な調和
「L.U.C グランド ストライク」は、細部に至るまでショパールのオートオルロジュリーの卓越した技術と洗練の美意識を映し出すように設計されています。その絶妙なバランスは、心地よい着用感を生む理想的なプロポーションといった造形に反映されているだけではなく、手首に装着した瞬間の体験をより豊かにする繊細なディテールにも息づいています。

ソヌリ機構の精緻なメカニズムは、チャイミングウォッチを目にするほとんどの人にとって謎めいた存在のままですが、「L.U.C グランド ストライク」はあえてその複雑な構造を見せる設計を採用しています。文字盤を排したデザインにより、ウォッチ内部の機構全体が露わになり、オートオルロジュリーの神秘と驚異を視覚的に強調しています。

 

革新的なサファイアクリスタルのチャイミング機構と対比し、それを補完する美的要素として、ムーブメントの地板とブリッジには伝統的な洋銀(ジャーマンシルバー)を採用しています。この合金は時計製造において長い歴史を持ち、時の経過とともに緑青(パティナ)を帯び、温かみのある風合いを醸すことで知られています。また、人の皮膚に含まれる天然の油脂に反応しやすい性質を持つため、扱いには極めて高度な注意と熟練が求められます。時計愛好家であれば、この素材を用いた仕上げの繊細さと難易度を一目で理解することでしょう。外装の各部品もまた、緻密に調整された仕上げの“シンフォニー”を奏でています。サテン仕上げを施したミドルケースは、ホワイトゴールド特有のナチュラルで柔らかな光沢が引き立ち、ケースバックに向かって柔らかな丸みを帯びたケース(bassiné case)は、腕の曲線に自然に沿い、流麗なラインを描きます。仕上げの洗練を極めるのが、ゴールド製針&インデックスです。一見するとゴールド仕上げの部品と見分けがつきませんが、その内に宿るソリッドゴールド素材の純度が、ショパール マニュファクチュールの真の品質と美学を雄弁に語っています。

カール‐フリードリッヒ・ショイフレは次のように語ります。
「ショパール マニュファクチュールでは、革新と伝統の完璧な相乗効果を生み出す時計を製作するという理念を常に堅持しています。ムーブメントの構造や機能を最大限引き立てるために再設計されたケースデザインは、長年にわたって培ってきた最高水準の時計製造技術の結晶が息づいています。同時に、『L.U.C グランド ストライク』を身に着ける歓びを高めるために、あらゆる工夫が凝らされています。光の下で美しい輝きを放つ手作業による仕上げのディテール、手首に完璧にフィットする優美な曲線を描くケースのフォルム、好みに合わせて交換可能なストラップなど、細やかな配慮が尽くされています。時計愛好家の方々がこのタイムピースをご覧になれば、チャイミングウォッチの偉大な伝統と遺産を彷彿させる、そのプロポーションと仕上げにきっとご満足いただけることでしょう」。

音楽と時計製造は同じ魂を宿しています。どちらも高揚感とインスピレーションをもたらし、崇高なものを伝える力を持っています。優雅さと数学的な法則が、両者を等しく支配しています。それらは時を超えて響き合い、人の営みにリズムを与えてきました。この共通の本質を最もピュアな形で体現するチャイミングウォッチが、時計製造の頂点として君臨しているのも不思議なことではありません。それはまさしくオートオルロジュリーのスピリットが最も崇高な形で昇華した象徴といえるでしょう。ショパールがソヌリの探求と革新の旅を続けること30年、「L.U.C グランド ストライク」は、2006年に登場した名作「L.U.C ストライク ワン」が掲げた約束をついに果たしました。そのチャイムは、時計製造の世界において極めて稀有な存在。儚くも忘れ難く、一瞬でありながら永遠の響きを奏でます。


ショパール マニュファクチュール 創設30周年
2026年、ショパール マニュファクチュールは、フルリエに自社ムーブメントの工房を創設以来、30周年を迎えます。その始まりは、1996年に発表されたキャリバー「L.U.C 96.01-L」の誕生に遡ります。30年間で、メゾンの工房は本格的なマニュファクチュールへと成長し、ベースキャリバーから複雑なムーブメントの製作、精緻な手仕上げ、クロノメーター認定の取得、部品加工から工芸技術に至るまで、あらゆる製造工程を習得してきました。ショパール マニュファクチュールの歩みは、チャイミングウォッチにおけるサファイアクリスタル製ゴングの導入などの先駆的なイノベーションや、責任ある素材調達といった業界をリードする取り組みによって特徴づけられています。今日、ショパールの「L.U.C 」コレクションは、長期的なビジョンと家族の情熱と継承の伝統、そして一切の妥協を許さない精度への探求が、スイスのウォッチメイキングにもたらす成果を体現しています。

これはチタンの高機能さと優れた美観を兼ね備えたドイツ時計だ。

ゴールドブロンズの限定モデルを含む数種類のT50を数分間触れてみて、僕の期待が的中したことを報告しようと思う。とにかくT50は素晴らしかった。

さて、ここからが本題だ。最初の発表を見逃してしまった人のために説明すると、T50は基本的にジンの“ミッドサイズ”ダイバーであるU50をグレード5のチタンで表現したものである。幅41mm、厚さ12.3mm、ラグからラグまでの長さが47mmのチタン製T50の重量は、わずか53gだ(ストラップを付ける前の重さ。ゴールドブロンズモデルでは73g)。

すべてのバージョンで、幅20mmのドリルドラグ、無反射コーティングを施したサファイアクリスタル、クローズドケースバック、ねじ込み式リューズ、500mの防水性能、そしてジンのArドライテクノロジーを採用している。加えてT50は、船級協会であるDNVから欧州潜水器具規格のテストと認定を受けている。ベゼルは“テギメント”加工の硬化チタン(耐傷性)製で、ベゼルを回す前にユーザーが軽く押し下げる必要がある誤回転防止構造を装備。これはベゼルの目盛りが示す時刻を誤調整してしまうことを防ぐためのものだ。

ジン UシリーズのダイビングスタイルとUXラインのソード針がミックスされたT50は、僕の腕と目にはオメガ シーマスター Ref.2254のようなものをとことん現代的にアレンジした時計のように感じられた。その印象の一部は針によるもので、もうひとつはT50のプロポーション、特に比較的薄いシェイプとなめらかなベゼルのエッジによるものだ。

Sinn T50
しかし、シーマスターはともかく、T50は非常にジンらしい時計であることは間違いない。モノクロームかつ、シャープでモダン、オーバースペックで、誰かの手首で水中に身を置くことを望んでいるのだ。直径41mmのダイバーズウォッチでありながら、その文字盤は部屋の反対側からでも判読することができる。

文字盤の文字要素は少なく、3時位置には控えめな日付表示があり、夜光処理は分針とベゼルのゼロ位置にある夜光の三角がブルー、そのほかがグリーンのツートーンで仕上げている。デザイン的に華やかな部分を挙げるとすれば、6時位置に(マットブラックの地の上に)グロスブラックで施された“Made in Germany”の文字や、秒針の中央付近の小さな夜光帯がそれにあたるだろう。発売当初はこの小さなディテールを見逃していたのだが、下の夜光ショット(夜光塗料が発光する様子の撮影)ではっきりと確認することができた。

Sinn T50 lume shot
今回ジンを訪問し、最新のTシリーズ、その3モデルすべてを見ることができた。オールチタン製のT50、ゴールドブロンズベゼルを備えたT50.GBDR、そしてすべてをゴールドブロンズでしつらえた限定のT50.GOLDBRONZEだ。ツートーンを好まない僕はスタンダードなT50を選んだが、限定のゴールドブロンズモデルは手首に乗せるととても魅力的で、発売と同時に300本がほぼ完売したのも納得できる話だった。温かみがあるカラーリングかつマットな仕上がりで、ゴールドやブロンズのような輝きはないものの、テキスタイルストラップとの相性は抜群だ。

ゴールドブロンズ(またの名をゴールドブロンズ125、CuSn7Au12.5)は、鉛、カドミウム、ニッケルを一切含まない純度を追求したジン独自のブロンズ合金である。これはブロンズの弱点である皮膚との適合性、耐腐食性の改善を目指したものだ。この合金は暗めのパティーナ(経年変色)を帯びるが、これは簡単に除去することができる。

ケースの素材を問わず、T50はスイスのセリタ製ムーブメント、SW300-1を搭載している。これは2万8800振動/時で時を刻み、42時間のパワーリザーブを有する自動巻きムーブメントだ。T50のケースに収められたCal.SW300-1はDIN8309規格(4800A/m)の耐磁性能を誇る。また、ジンは3年間の保証を用意している。

T50は特にツーピースからなる新しいテキスタイルストラップ(チタン製のピンバックルを使用)に合わせ、巧妙な調整が全体に施されている。文字盤上のモデル名のテキストも、ブランドロゴに使われている白ではなく、グレーで表現されているのだ。

Sinn T50
僕はもともとU50の大ファンだったが、T50はそのさらに上を行っているように感じる。U50にもっと本格的な機能を取り入れつつ、装着もしやすい。腕につけたときの重さはまるで小さなドレスウォッチのようで、7インチ(約17.8cm)の手首にフィットしながらも、カフスをつけると薄く感じるほど低めに設定されているところはとても気に入っている。今作はジンのなかでもプレミアムなモデルに仕上がっていて、チタン製のダイバーズウォッチに大枚をはたいたばかりの身としては、T50はその価格帯にふさわしい製品だと思う。

誤回転防止構造がベゼルの動作に関わる大部分を規定していて、過去に経験したもの(例えば、オリジナルのTシリーズダイバーズ)と比較してもはるかに洗練されている。この機構により、操作時の力加減はライトながらもしっかりと固定されており、指先に受ける感覚は実に機械的だ。これは僕が経験してきたロック式ベゼルのなかでも最高で、自分の腕につけていても気にならない初めての時計だった。

Sinn T50
ジン T50の価格は、ラバーストラップまたはブレスレットモデルの場合は74万8000円(税込)から(ブレスレットを入手したり、テキスタイルを追加したり、NATOに付け替えることもできる)。ツートーンのT50.GBDRは、テキスタイルストラップで82万5000円、ブレスレットとラバーのモデルで90万6400円(ともに税込)となっている。最後に、限定のT50.GOLDBRONZEは110万円(税込)とT50のなかで最高額である。

最初にその価格設定を見たとき、U50(T50にとってSS製の対抗馬といっていいだろう)がラバーストラップで49万8300円(税込)からであることを踏まえて少々驚かされた。一方、ほとんどの人が最初にT50と比較したであろうチューダーのペラゴス 39は、59万1800円(税込、ブレスレットにラバーストラップも付属)で販売されている。

Sinn T50
しかしT50を実際に見て、その価格に対する僕の考えは和らいだ。確かにすでに十分素敵に見えるU50よりもだいぶ高い。だがペラゴスと比べてもグレードの高いチタンを使用しており、より優れたスペック(例えば防水性能も500mと200mだ)にドリルドラグ、誤回転防止構造のベゼルまでも実装している。腕につけたときの美観も素晴らしい。一方、ペラゴス 39はより小さく(そのサイズに引かれて購入した人にとっては大きなプラスだろう)、洗練されたベゼルアクション(また、夜光付きのベゼルインサート)や間違いなく優れたムーブメント(保証期間も十分だ)を備えている。

しかしこの時点で、僕が最近ペラゴス 39を買ったばかりだということを思い出す必要がある。僕がT50に感動した部分(非常に多い)と、ペラゴス 39を買った理由(主にサイズと美的感覚だ)は、比較できるものではない。だが、T50とU50の関係をブラックベイ 58に対するペラゴスと考えるなら(わかっている。僕はいくつかラインを超えてしまっている)、この価格設定はジンの枠組みのなかで成立しており、チタンの時計がどれだけ欲しいかということに集約されると思っている。繰り返すが、僕は上に挙げたすべての時計のファンだ。だが、僕がより小さなペラゴスに傾倒していることを踏まえつつ、39mm径になったU50やT50の魅力についても考えてみて欲しい。

ペラゴス 39もT50もチタン素材がモダンなスタイリングと共存しており、実用的でつけやすく、ちょっとテクニカルで、僕が所有する多くのSS製ダイバーズウォッチとはまるで異なる存在感を手首の上で放っているのだ。

Sinn T50
U50の実績をもとにT50を美観的にも物理的にも異なるものとすることで、ジンというブランドを象徴する素晴らしい時計を作り出したと思う。さらに簡潔にいうなら、もしあなたが本当にツールとして使えるチタン製ダイバーズウォッチを求めていて4桁ドル台半ばの出費をいとわないなら、T50をリストに加えるべきだろう。ジンがこれまでに製造したダイバーズウォッチのなかでいちばん好きだと、僕は自信を持って断言する。

ブルガリ オクト フィニッシモ イエローゴールド。

本物のスタイル、確かな技術力、そしてイタリアの魅力が詰まった時計。一体誰が、そのすべてを満たすことはできないなんて決めたのだろう。

まだ手に入れていない時計のことを妄想するとき、私は独特な行為を晒すようだ。それはまるで報われない片思いをしたかのような、不本意で少し恥ずかしい行為だ。熱中し始めの時期はいつも同じだ。そのことについてずっと話していて、それと一緒にセルフィーを撮る。そしてこの新しいアイテムが世界に対する私の感じ方を根本的に変え、私という人間を向上させる力があるかのように(この場合、私という人間よりも私の見た目が重要なのだが、言いたいことはわかるだろうか)、ずっとそれを見つめているのだ。

ブルガリスーパーコピー代引き時計を借りて、すぐに自分のものだと感じられることほどいい気分はないだろう(同じように悪い気分もない)。これは4万5000ドル(約630万円)の時計を買える人物に扮して、街中で身につけるということではない。この時計が自分のものであることを心の底から感じることだ。そしてこの時計をつけて鏡に映る自分を見つめ、この時計を中心にコーディネートを考え、レストランで腕を振り回し、「ねぇ、マティーニをもう一杯いただけないかしら」とドヤ顔でウェイターに呼びかけることなどだ。

そして、時計を返却するときに感じる大きな痛みが訪れる。そう、別れだ。

18Kイエローゴールドのブルガリ オクト フィニッシモを手放さないといけない(そもそも“所有”してさえなかったのだが)無様な現実に揺り戻されるのだ。たしかに、この行為は少し大げさだ。だが、毎日恋をしているわけではない。だから足がすくみそうになる時は、注意したほうがいいと思うことにしている。セロトニンは摂取できるときに摂取することが大切なのだ。

イエローゴールドへの一途な思い
イエローゴールドのブルガリ オクト フィニッシモ オートマティックは、物理的な魅力を超えて強く印象に残った時計だ。なぜなら、それは私にとってより個人的な意味を持つものだったからだ。私が時計の世界に足を踏み入れたばかりの2019年に時を巻き戻してほしい。自分の専門分野を見つけつつあった私は、ほとんどすべてのプレシャスメタルの新作がローズゴールド、ピンクゴールド、レッドゴールドで生産されていることに気がついた。しかしイエローはそこになかった。

ファッションに携わる人間として、ファッショナブルな消費者が何を求めているかをきちんと理解していた私にはこの断絶が理解できなかった。私の周囲の人々はみんなイエローゴールドを欲しがっていたのに。スイスではどうなっているのだろう? なぜ(時計たちの)祖国ではローズゴールドに酔いしれているのだろう?

私はこの4年間、揺るぎない信念を持ち続けた。HODINKEE Magazine(米国版) Vol.Xで私はエッセイを書いた。もっとイエローゴールドの時計を発表して欲しいと、時計の神様に祈るような、悪態というか、祈りというか、そんな内容だ。そして特にイエローゴールドのオクト フィニッシモのリリースをお願いしたのだ。

超薄型のデザインは工業的な素材がもたらす独特の構造を備えていることは理解している。チタンとスティールの採用は最も理にかなっている。しかしブルガリがオクト フィニッシモをローズゴールドで作ることができるのならイエローゴールドで作れない理由はない。ブルガリがこれまで築いてきた歴史に乗っかってみてはどうだろう。ブルガリにおいて、50年代の栄光の時代にはイエローゴールド一辺倒だった。

そして今、ようやくそれが現実のものとなった。黄金のオクト フィニッシモの登場だ。魔法のランプを何度もこすると、あなたの願いも叶うかもしれない。50本の限定生産で北米でしか手に入らない。だが、ないよりはましだ。最近私は1週間、この時計を手首につけて過ごした。その感想をご紹介したい。

“甘い生活”を現実に
私が時計に夢中になる以前、ブルガリは世界で最も尊敬されるジュエラーのひとつであると認識していた。ブルガリといえば、『クレオパトラ(現代:Cleopatra)』の撮影現場でセルペンティに身を包んだエリザベス・テイラーや、彼女がリチャード・バートンから贈られた巨大なダイヤモンドとエメラルドのスーツを身にまとった姿が思い浮かぶ。ブルガリの1960年代のドルチェ・ヴィータ全盛期には、ソフィア・ローレンがカラフルな宝石でグラマラスな雰囲気を醸し出し、『カジノ(現代:Casino)』の撮影でシャロン・ストーンがカボションルビーとイエローゴールドのモネーテを身にまとっている姿が想起された。テクニカラーに彩られたハリウッドのファンタジーだ。

正直なところ、私はブルガリを今でもそのように見ている。しかし一方ではブルガリの本格的な時計製造の技術的成果も理解している。そして同じく印象的な高級時計製造のデザインも評価している。

ブルガリに入社して20年になるデザイナー、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏は、トゥボガスとセルペンティ(2009年までトゥボガスはブルガリ・ブルガリのダイヤルで作られていた)を融合させた立役者であり、時計としても機能する美しい単体のオブジェクトをデザインするには何が必要かを明確に理解する人物だ。

オクト フィニッシモは、トゥボガスやセルペンティと同じく彫刻のような美しさを持つ。しかしその曲線的な女性らしさとは異なり、そのラインは純粋に幾何学的である。この極薄のデザインはジェラルド・ジェンタのバイ レトロのデザインの影響を色濃く受けており、21世紀のアイコンとしてふさわしい名声を築いている。しかし実際の製品を文字どおり“アイコニック”と呼ぶのは、まったく別の話だ。

ボナマッサ・スティリアーニ氏は、シェイプや幾何学的な要素を操るというブルガリのデザインの真髄をうまく表現している。一方でオクト フィニッシモは非常に大胆で、時にアグレッシブな印象を与える時計でもある。しかしそのマジックは極薄の横顔、超スマートな直線美、そして超エレガントなイタリアのオーラによるものだ。

この時計をよく見てみると、ほとんどすべての部品が極薄設計となっている。直径は40mmだが、厚みはわずか6.40mmだ。アワーマーカーやスケルトン針、そしてブレスレットのリンクに至るまで。すべての要素が共通して、薄さをメッセージとして伝えているのである。

モノクロ調のオクト フィニッシモの先代モデルとは異なり、このモデルはケースとブレスレットと異なる色のダイヤルを備えている。当初、私はこのブラウンダイヤルに違和感を覚えたものだ。夢のイエローゴールドの時計になぜこんなことをしたのだろう? と。結局ブルガリはローズゴールドをカラーバリエーションのひとつとして確保するためだけに残した。しかしこのブラウンダイヤルは、実際に手に取るとまた違った印象を受ける。サンレイ仕上げ、ブラウンラッカー仕上げのダイヤルは、私が“メタリックチョコレートシガー”と勝手に呼んでいるように深く、暖かく、そしてこの言葉を使うのは躊躇われるが、悩ましいほどに適切だろう。“Yummy(おいしい)”。

機械式ムーブメントとアヴァンギャルドデザインの邂逅
超薄型時計には当然、超薄型ムーブメントが必要で、それはブルガリのお家芸となっている。ブルガリは2014年以降、“最薄の機械式時計”のカテゴリーで何度も記録を更新している。フライングトゥールビヨンからミニッツリピーター、自動巻きムーブメントまで、オクト フィニッシモは時計業界が“スキニーレジェンド”の美学を追求するうえで非常に重要な役割を担っているといえる。

イエローゴールドのオクト フィニッシモ オートマティックはプラチナ製マイクロローターとスモールセコンド表示を備えた自動巻きムーブメント、Cal.BVL138を搭載する。厚さ2.23mm、直径36.6mmで、60時間のパワーリザーブを備えるムーブメントだ。

腕時計を楽しむ女性にとって、見た目の美しさと機械的な信頼性のどちらを選ぶかは、しばしば悩みの種になる。しかし、この時計はその両方の要素を兼ね備えている。この点において、ボナマッサ・スティリアーニ氏がイエローゴールドをデザインに取り入れた時計は実に巧妙だ。セルペンティの曲線が描くグラマラスでセクシーなムードと、オクト フィニッシモが達成したシリアスな時計製造の力強さが交差する地点に今作を位置付けることに成功したからだ。

競合モデル
カルティエ サントス ドゥ カルティエ(ミディアムサイズ)
クラシックでジェンダーレスなデザインのこの時計は過度に大きくなく、男性的な存在感を主張しすぎていることもない。私が憧れる1970年代のシャーロット・ランプリングの分身ともいえる時計だ。

Cartier Santos Gold
サントスの特徴は、スクエアなフォルムとベゼルに露出した8本のネジだ。この幾何学的なデザインは1900年代初頭のパリ建築の洗練美とシンメトリーをイメージしたものである。なんともヨーロッパ的な造形だ! 2019年に登場したサントス ドゥ カルティエはローマ数字とレイルウェイミニッツトラックが描かれたシルバーのオパーリンダイヤル、カルティエらしいクラシックなブルースティールの剣型針、ファセットサファイアをセットした7角形のリューズが特徴だ。

モダンなサントスはカルティエの現行カタログのなかで最も成功したデザインのひとつとして盤石な地位を築いた。オクト フィニッシモよりも着けこなしやすく、468万6000円(税込)と予算面でもやや射程圏内に入るのが本モデルだ。とはいえ金無垢の時計を狙うのであれば、予算の話題は恣意的なものかもしれないが。

ショパール アルパイン イーグル イエローゴールド
私が辛抱強く待ち望んでいたゴールドの時計がまたひとつ登場した。41mmのイエローゴールドのアルパイン イーグルは、私の好みからすると少し大きすぎる点が惜しい! オクト フィニッシモが40mmなのは知っているが、両者はまったく違う着け心地だ。ショパールは伝統的なスポーツウォッチで、ブルガリは基本的に身につけられる彫刻のようなものだ。アルパイン イーグルはブレスレットのような質感はない。ただ、大きな時計という印象だ。

しかしそれにしても格好いい時計だ。サテン仕上げのベゼルには面取りが施され、トノー型ケース(厚さ9.7mm)の上にネジで固定されているため、100mの防水性を確保している。コンパスローズ(羅針盤)をモチーフにしたサイン入りのリューズは3時位置のポリッシュ仕上げのリューズガード(9時位置にも付いている)のあいだに収まっている。

テーパーの効いたブレスレットの表面はほぼサテン仕上げで、ポリッシュ仕上げのセンターリンクと相まってしなやかで美しい仕上がりだ。しかし、このモデルがほかのライバルと一線を画している点は、深い稜線と催眠術に誘うような渦巻き模様が施されたダイヤルにある。同じ並びにパテック フィリップのノーチラスを加えるのも一興だ。オーデマ ピゲのロイヤルオークや、あるいはロレックスのヴィンテージ チェリーニ キングマイダスも。しかし私の目には、同じようにジュエリーで有名なブランドの時計が三つ巴の戦いを繰り広げているように映る。

最終的な考え
率直な感想を言おう。この時計の存在を望んでいたのと同じくらい、この時計はブレスレットを腕につけているような気分になる。ティファニーやエルサ・ペレッティのボーンカフやヴェルデュラ(Verdura)のマルタ十字カフを身につけるのと同じような感覚を覚えるのだ。

ワンダーウーマンが超人的な力を発揮している姿、サンローランが所有するマラケシュの別荘のオアシスでくつろぐルー・ドゥ・ラ・ファレーズ、アンディ・ウォーホルとスタジオ54に入るグレース・ジョーンズ、ハルストンの71年秋冬コレクションのモデルで彼女の名を冠したカフスを身につけたエルサ・ペレッティなど、オクト フィニッシモは彼らと自分の姿を重ね合わせてくれる。

つまりドレスアップしたファンタジーを楽しませてくれる存在だ。しかもそれが本格的なムーブメントを搭載した本物の時計であるという、強力なボーナスがついてくるのだ。

それでも何もかも手に入れるのは贅沢だと言うのだろうか?

ロレックス初のウィナーズデイトナを日本で発見。

日本人で初めてデイトナ 24時間レースを制したドライバーのひとり、鈴木利男氏が手にした記念すべきロレックス初となったウィナーズデイトナの詳細に迫る(しかもブラウンチェンジダイヤルだ!)。

フォーミュラ1、FIA世界耐久選手権™、ル・マン 24時間レース、そしてデイトナ 24時間レース。世界的に権威のある多くのモータースポーツイベントで公式タイムキーパー・パートナーを務めるロレックスだが、なかでも最も有名なものといえばデイトナ 24時間レース(ROLEX 24 AT DAYTONA)だろう。

1959年にロレックスはフロリダ州デイトナビーチにあるデイトナ・インターナショナル・スピードウェイのパートナーとなり、それから数年後の62年に初のレースが開催された。そして1963年。ロレックスは、このレーストラックとの繋がりを象徴するクロノグラフとして“コスモグラフ デイトナ”を世に送り出したのである。

時代によってレースの名称が変わったが、1992年にロレックスがタイトルスポンサーとなったことで現在の“ROLEX 24 AT DAYTONA”の名が定着した(とはいえ、本稿ではなじみ深いデイトナ 24時間レースと表記する)。

ロレックスがタイトルスポンサーとなった1992年のデイトナ 24時間レースでは、ニスモ(※1)チームからニッサン・R91CP(※2)がエントリーした。このチームドライバーだったのが長谷見昌弘氏、星野一義氏、鈴木利男氏の3人だ(テストでドライバーへの負担が大きいことが判明したため、スウェーデン人レーシングドライバー、アンデルス・オロフソン氏が追加登録されたが実際に彼が走ることはなかった)。

もともとはル・マン 24時間レースでの優勝を狙ってチームが組まれたが、1991年のル・マン 24時間レースは車両規定変更のため出場を断念。その代わりにターゲットとしたのがデイトナ 24時間レースだった。しかし90年後半に湾岸戦争が勃発したことから91年の同レースも出場を見合わせとなり、ようやく翌92年にエントリーの機会が訪れた。

その結果はどうだったのか? 詳細は割愛するが、ニッサン・R91CPは2位のジャガー・XJR-12Dに9周の差をつけ、それまでのレース周回数を更新する762周を記録し総合優勝。デイトナ 24時間レース初エントリーにもかかわらず、日本製マシンと日本チーム、そして日本人ドライバーによる初優勝という快挙を成し遂げた。

※1:ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル(Nissan Motorsports International co.ltd.)の通称。日産社内のワークスチームが分社化し設立された会社で、日産車をベースに改造を施し販売を行ったほかレースへの参戦も担った。
※2:1991年の全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権、そしてル・マン 24時間レース用に日産自動車が製作したレーシングカー。

その華々しい記録も見逃すことはできないが、時計好きにとってより重要な出来事は1992年以降、デイトナ 24時間レースで勝利したチームのドライバーに特別仕様のデイトナが贈られるようになったという事実だ。その時計は“ウィナーズデイトナ(ウィナーズロレックスとも)”と呼ばれ、まずお目にかかることができないレアモデルのひとつとしてロレックスファンに知られている。

ウィナーズデイトナ、しかも記念すべき“初の”ウィナーズデイトナを手にした人物こそ、長谷見昌弘氏、星野一義氏、鈴木利男氏(アンデルス・オロフソン氏も手にしたと言われている)という3人の日本人だったのだ(実はその事実に気づいていない人も意外と多いのではないだろうか?)。そんな希少なデイトナをぜひとも自分の目で見てみたい。その一心で筆者は伝手を頼り、1992年のデイトナ 24時間レース優勝ドライバーのひとりである鈴木利男氏に会うことができた。

ロレックス初のウィナーズデイトナはどんな時計だったのか?

1992年のデイトナ 24時間レースに参戦し、チームドライバーとして優勝に貢献した。日産のR35 GT-R開発ドライバーとしても有名。現在は日産公認のGT-Rをはじめとする国内外のスポーツカーのメンテナンス・チューニングを行うサービス工場、ノルドリンク(NordRing)の代表を務める。一方、ドライバーとして今も現役であり、2021年には市販車の改造車両で行われるツーリングカーレース、スーパー耐久に参戦している。
4月某日。筆者は鈴木利男氏が主宰するショップ、ノルドリンクを訪ねた。普通なら伝説的なレーシングドライバーと対面できることを喜ぶべきだが、筆者の頭のなかはウィナーズデイトナのことでいっぱいだった(クルマ好きの方からしたら、なんて失礼なヤツだと思われるかもしれないがどうか許して欲しい)。

ガレージ横にあるミーティングスペースに案内されると、鈴木利男氏との挨拶も早々に筆者の目はテーブルの上に無造作に置かれた時計に釘付けとなった。

ウィナーズデイトナだ!

時計の横に写るのは1992年のデイトナ 24時間レースでニッサン・R91CPを運転中の鈴木利男氏の写真。実はこの時撮影された写真が後年、10分の1スケールのラジコンカーが作られた際のパッケージに使用された。
優勝年(1992年)からRef.16520であろうことは予想ができていたが、対面したウィナーズデイトナは想像を超える驚くべきものだった。完璧なものではなかったものの、なんとインダイヤルが茶色に変色したブラウンチェンジダイヤルだったのだ! しかも時計がやたらとキレイだ。もしかしたら取材に合わせてわざわざオーバーホールをしてくれたのだろうか?

デイトナ(Ref.16520)黒文字盤のインダイヤル部分が茶色く変色したブラウンチェンジダイヤル。ブラウンアイ、パトリッツィダイヤルとも呼ばれている。一説には1993年から95年のS、W品番に比較的多く見られると言われている。
 「優勝した時に1度つけてみたのですが、ブレスレットがぶかぶかでしょう? コマを調整しないといけないというので面倒くさくなってしまって。実はそれっきり貸金庫にしまい込んでいたんですよ。今回、何十年ぶりかで引っ張り出しました」と鈴木氏。なんとほぼ未使用状態だったのである。

ケースを磨いた様子はなく、ブレスレットも極めてきれいな状態だ。ギャランティはもともと付属していなかったのか、紛失してしまったのか、記憶が定かでないとのことで箱のなかには見当たらなかったが、調べてみると品番が箱の前面にでかでかと書かれており、ケースはE品番(1990〜91年製とされている)。優勝年から考えると妥当である。そしてブレスレットはオールサテン仕上げのシングルロックタイプ。ブレスレット番号は78360、フラッシュフィット番号は503で、これは1988年から95年頃にかけて製造されたRef.16520に採用されていたといわれるタイプのものだ。ブレスレットの製造時期も合っている。

そしてケースバックに目をやると、“ROLEX 24 AT DAYTONA”のロゴと優勝年を示す“1992”の数字。そしてそれらの上には“WINNER”の文字が刻印されている。正しくこれがウィナーズデイトナであることを静かに物語っていた。

1992年2月2日、デイトナ 24時間レース優勝後に撮影された1枚。白いレーシングスーツに身を包んだ4名がニスモチームのドライバーで、左から長谷見昌弘氏、星野一義氏、鈴木利男氏、アンデルス・オロフソン氏だ。鈴木利男氏が手に持っている“ROLEX”と書かれた箱にウィナーズデイトナが置かれている。ただ、これはあくまでも撮影用で、ドライバーにはこれとは別のものが贈られたという。Photo by ISC Images & Archives via Getty Images
デイトナ 24時間レースに参戦した当時の様子を、鈴木氏は次のように話す。

「デイトナ・インターナショナル・スピードウェイは最大傾斜角31°のバンクを持つのが特徴です。私は初めてのバンク走行だったのですが、10周したところでステアリングを握る手の皮が剥けてしまったんです。それくらい身体に余計な力が入っていたんでしょうね」

そんな状態でも無事に走り抜き、デイトナ 24時間レース初参戦にもかかわらず初優勝という偉業を成し遂げて手に入れた時計だ。きっと何か思い入れがあるに違いないとコメントを求めたが、鈴木氏の回答は意外なものだった。

「1992年からロレックスがスポンサーとなったので、時計が贈られるということは事前に聞いていましたが、まったく興味はなかったですね。中学に上がった記念に祖父がコンビのロレックスをくれたのですが、日付表示に付いているボコっと盛り上がったサイクロップレンズがどうにも嫌でね。それ以来、時計に対する興味もつけることもほとんどなくなってしまったんですよ」

「時計自体に対する思い入れはあまりないですが、優勝した時は勝てたうれしさでいっぱいでしたね。国際レースでの優勝は初めてでしたので。というのも、ル・マンやデイトナのような耐久レースに出ていた当時のニッサンのグループCカー(※3)はすごくよかったんですよ。日本でもずっとチャンピオンをとっていましたから。ただ、ル・マンではトップとの差は歴然としていましたし、表彰台に上がるなんてことはまだ夢のまた夢という状況。まずは完走することが第1という時代です。当初はル・マンに照準を合わせていたわけですけど、レギュレーションの変更や戦争で出られなくなって、やっとデイトナへのエントリーが決まったような印象でしたね。それが初めて出たデイトナで、日本のチームが日本のクルマで優勝できるなんて思いも寄りませんでした」

実は1992年をのぞくと、後にも先にもデイトナ 24時間レースで日本のチームが日本のクルマで優勝した例はない。2019年に元F1ドライバーの小林可夢偉氏が総合優勝を飾っているが、この時はキャデラックチームでの参戦で、彼以外のチームメイトはすべて海外勢。歴代優勝チームとそのクルマを見ると、いかに92年のニスモチームの優勝が異例だったのかがよくわかる。

※3:かつて存在したスポーツカーのカテゴリー。1981年に国際自動車スポーツ連盟(FISA)によって発表され、従来は1から8の数字で形成されていたレギュレーションを改正。1982年にAからE、そしてNという6つのアルファベットで表されるようになった。
 「優勝して日本に帰国してすぐだったと思いますが、年配のレース関係者の方から500万円で譲って欲しいと言われましたがお断りしました。時計に興味がないとは言っても、やはりこれは自分がやってきたことの大切な証ですから。譲るつもりはないですね。もし自分が死んで、息子が相続したら売られてしまうかもしれないですけどね(笑)」

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ランゲによる偉大なクロノグラフに、アイコニックなダイヤルカラーの新作が加わった。

時計業界において、あらゆる時計の重要な記念日を常にチェックしておくのは大変なことだ。だがこれは、A.ランゲ&ゾーネ(A. Lange & Söhne)からのリマインドである。初代1815 ラトラパント・パーペチュアルカレンダーが発表されてから10年が経とうとしているが、すっかり忘れてしまったかもしれないあなたのために、ピンク文字盤の18Kホワイトゴールド製限定モデルが発表されたのだ。ランゲらしい、見事な時計である。

この時計は、2013年にジュネーブ時計グランプリ(GPHG)のグランド・コンプリケーション部門で優勝した10年前と同じ手巻きムーブメント、L101.1を搭載している。パーペチュアルカレンダーはうるう年を含む2100年までのすべての日付を正確に表示し、超高精度のムーンフェイズは巻上げさえしていれば122.6年間は修正の必要がない。そして、裏蓋側からはラトラパント機構をはっきりと見ることができる(ランゲの場合、そのムーブメント構造を確認することが重要だ)。

18Kホワイトゴールド製ケース(サイズは過去に発表されたものと同じ41.9×14.7mm)と、ピンクゴールド製の文字盤(ランゲは長年にわたり、魚からインスパイアされたいかなる色とも呼ばないことにこだわりがあることは学習済だ)を組み合わせたこのモデルは100本限定で、価格は要問い合わせとなっている。

確かに、文字盤の色が変わっただけで、ほかには大した変化は見られない。だが、これほど素晴らしい時計に文句をつけるほうが難しい。

1815 ラトラパント・パーペチュアルカレンダーは、ランゲによるウォッチメイキングのほかの例(ルーメンシリーズの文字盤であれ、単に驚くほど複雑なムーブメント構造であれ)の影に埋もれてしまうことが多いように思う。もし私が大好きなランゲのムーブメントを挙げるとなったら、1815 ラトラパント QPの前に、おそらく初代ダトグラフ、ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン、トリプルスプリット、そしてプレーンな1815をリストアップすることだろう。実を言うと、このラインのリリースはまだ4度目である(2013年に2種類の金属で出ていたのと、2017年にハンドヴェルクスクンストのリリースがあった)。そんなモデルだからこそ、ちょっとした個人的な時間のために1本の時計を手に取るのは、いい記念にもなるだろう。

さて、この時計についてランゲに文句を言うのは難しいと言ったが、文字盤については少し思うところがある。もっとも象徴的なダイヤルカラーとケースカラーを選んだにもかかわらず(残念ながらスティールではないものの)、このリリースが“サーモンのようでサーモンではない”時計のパーティーに参加するのは少し遅すぎたのではないかと思う。MB&Fからこの組み合わせでリリースされたとき、私はとても興奮した。というのも、サーモンとホワイトメタルの組み合わせは非常にクラシックなものであり、マックス・ブッサー(Max Büsser)氏は極めて未来的なブランドからの粋な贈り物として、このカラーコンビを選択したのだ。なお、今作においてランゲは、大変人気が高く、発売当初はほぼ変わらない価格で流通していたと思われる往年のパテック Ref.5270Pに近しい配色を実現した可能性がある。また、この時計のカラーは普段使いの1本にするにはなかなか難しく、着用シーンを選ぶものだ。

とはいえ、私はニューヨークの地下鉄でトリプルスプリットを見たことがある。もし、あなたがこの時計をどこにでも身につけていくのだとしても、私は微塵も批判したりしない。

基本情報
ブランド: A.ランゲ&ゾーネ(A. Lange & Söhne)
モデル名: 1815 ラトラパント・パーペチュアルカレンダー(1815 Rattrapante Perpetual Calendar)
型番: 421.056

直径: 41.9mm
厚さ: 14.7mm
ケース素材: ホワイトゴールド
文字盤色: ピンクゴールド
インデックス: プリント
ストラップ/ブレスレット: レザーストラップ

ムーブメント情報
キャリバー: L101.1
機能: うるう年表示付きパーペチュアルカレンダー、アナログ式日付表示、曜日、月、ムーンフェイズ表示、スプリットセコンドクロノグラフ、パワーリザーブ表示
直径: 32.6 mm
厚さ: 9.1 mm
パワーリザーブ: 42時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 43

価格 & 発売時期
価格: 要問い合わせ
発売時期: 今すぐ、ブティック限定
限定: 100本