2025年10月

グラスヒュッテ・オリジナルは新たなコラボレーションによる3本の新作を発表した。

このコラボレーションは、ドイツ(そしてヨーロッパ)初の磁器メーカーとして1710年に創業したマイセンとのものである。

ご想像のとおり、この新作であるトリオは3種類の新しいポーセリンダイヤルで構成されている。ケースは直径40mmのレッドゴールド製で、厚さは10.23mm、ラグ・トゥ・ラグは47.09mm。3種のダイヤルはいずれも薄いポーセリンの板からつくられ、1400℃というきわめて高い温度で焼成される。釉薬にはホワイトまたはセラドングリーンを使用している。この過程では割れが生じやすいが、無事に焼成を終えたダイヤルには特徴的なローマ数字やレタリングなど、すべての装飾が職人の手作業で1層ずつ描き加える。各層が仕上がるたびにダイヤルは再び高温で焼成し、定着させる。
3本の限定モデルのうち2本は、マイセンのシグネチャーである“ミスティックメゾン”の装飾を採用している。ホワイトまたはセラドングリーンのダイヤル中央に描かれた輪郭の内側に、手描きによる華やかな花のモチーフを配している。それぞれ150本の限定生産だ。そして3本目は最も大胆で、そしてわずか8本限定の最も希少なモデル。ローマ数字は姿を消し、代わりにマイセンのクレーター花瓶“Dekorwelten”に着想を得た、きわめて鮮やかなコラージュが広がる。カラフルな動物、花、果実がセラドングリーンの背景の上に描かれ、すべてが職人の手によって彩色されている。

これら3本の限定モデルはいずれも、グラスヒュッテ・オリジナル自社製の自動巻きCal.36-16を搭載している。現代的な設計のムーブメントで、パワーリザーブは100時間、両方向巻き上げ機構を備え、シリコン製ヒゲゼンマイを採用している。ダイヤルのデザインこそブランドとしてはきわめて異色だが、ムーブメントはクラシックなグラスヒュッテ・オリジナルの真髄と言える仕上がりで、必要なジュネーブストライプ、手彫りのテンプ受け、そして多くの面取りや青焼きのネジがすべて施されている。
セネタ・マイセン エディションは、グラスヒュッテ・オリジナルの全ブティックおよび世界各国の一部正規販売店で取り扱われる予定だ。ミスティックメゾン ダイヤルの2モデルは423万5000円(税込)、コラージュ ダイヤルは3万6400ドル(日本円で約550万円、日本での価格は要問い合わせ)となっている。

我々が知っていること
今年のグラスヒュッテ・オリジナルのラインナップはきわめて強力だと私は感じている。そしてこの3つのモデルは一般向けのアピール力は限定的でありながらも、コラボレーションとして実に興味深く、ふたつの異なるドイツのクラフツマンシップの世界をつなぐ架け橋として理にかなっている。完璧なプリント精度を求める人は、別のモデルを探したほうがいいだろう。これらは、人間の不完全さを楽しむことにすべてがあるのだ。

言うまでもなく、“ミスティックメゾン”装飾を施したホワイトポーセリンダイヤルは、このトリオのなかでも最も控えめな存在だろう。おそらくいずれのモデルもすぐに完売すると予想されるが、なかでもホワイトダイヤルは最も早く姿を消すに違いない。グラスヒュッテ・オリジナルの時計全般に言えることだが、このダイヤルもまた“知る人ぞ知る”という絶妙なさりげなさを備えた仕上がりだ。しかしもしこの3本のうちから1本を選ぶとしたら私は迷わず、自然界の豊かさをそのまま表現したコラージュダイヤルを選ぶだろう。このモデルは、このラインナップのなかで最も突飛なものであり、すでにすべてを持っている人々のコレクションに加わることは間違いない。

基本情報
ブランド: グラスヒュッテ・オリジナル(Glashütte Original)
モデル名: セネタ・マイセン(Senator)
型番: 1-36-16-03-05-01(ホワイトのミスティックメゾン)、1-36-16-02-05-01(セラドングリーンのミスティックメゾン)、1-36-16-01-05-01(コラージュ)

直径: 40mm
厚さ: 10.23mm
ケース素材: レッドゴールド、シースルーバック
文字盤色: ポーセリン
インデックス: 手描き
夜光: なし
防水性能: 5気圧
ストラップ/ブレスレット: ダークブルーのルイジアナ・アリゲーター・ストラップ

ムーブメント情報

キャリバー: 36-16
機能: 時・分表示
パワーリザーブ: 100時間
巻き上げ方式: 自動巻き、両方向巻き上げ
振動数: 2万8800振動/時
クロノメーター認定: なし
追加情報: シリコンヒゲゼンマイ

価格&発売時期
価格: ミスティックメゾンダイヤルは423万5000円(税込)、コラージュダイヤルは3万6400ドル(日本円で約550万円、日本での価格は要問い合わせ)
発売時期: グラスヒュッテ・オリジナルブティックおよび一部の正規取扱店にて発売中
限定: あり、ミスティックメゾンは各色150本限定、コラージュは8本限定

ランゲの最も貴重な貴金属ふたつを使用した、各200本限定のサイズアップモデル。

A.ランゲ&ゾーネからリリースされた34mmの1815は、時・分・秒というシンプルな表示ながらWatches & Wondersにおける今年最高の時計のひとつであり、そのサイズにもかかわらず、万人に愛されているようだった。しかしサクソニア・フラッハには長年のファンがおり、より大きなドレスウォッチを求める声もあった。今回発表されたハニーゴールド(HONEYGOLD®)750とプラチナ950の新しいサクソニア・フラッハのペアモデルはどちらもオニキスをあしらった925シルバーダイヤルを備え、このギャップを効果的に埋める、きわめて魅力的なふたつの限定モデルだ。

 直径40mm、厚さ6.2mmの本作に搭載される直径28mmの手巻きCal.L093.1は、ケースバックから見るとやや小さく見える。厚さわずか2.9mmながら、このムーブメントは72時間という驚くべきパワーリザーブを誇り、2万1600振動/時で駆動。21石、3つのねじ留めのゴールドシャトン、耐衝撃性のスクリューテンプ、そして自社製ヒゲゼンマイを備えている。

 このムーブメントは2011年に発表されたもので、これほどのパワーリザーブと信頼性が証明されているため、その成功に代わるものや改善する必要はまったくない。そしてご覧のとおり、時計は信じられないほど薄いままなのである。



 新しいサクソニア・フラッハのモデルはどちらも素晴らしい。ハニーゴールドのケースは常にコレクターにとって魅力的な選択肢であり、ブラックオニキスをあしらったシルバーダイヤルとの組み合わせはさらに魅力を高めている。プラチナとオニキスの組み合わせもまた、ホワイトメタルの選択肢を好む人にとっては堅実な選択だ。どちらの時計も200本限定で、価格は4万5000ユーロ前後(日本円で800万円前後、日本での価格は要問い合わせ)だ。


我々の考え
興味深いことに、優れたブラックダイヤルとゴールドケースのドレスウォッチは市場にほとんど出回っていない。特に、ほとんどのコレクターが、それがヴィンテージウォッチにおける究極の組み合わせだと語ることを考えればなおさらだ。現代の文脈では重厚すぎるかもしれないが、ハニーゴールドとオニキスストーンの組み合わせは本当に素晴らしい。ランゲのプロダクト・ディベロップメント・ディレクターであるアントニー・デハス(Anthony De Haas)氏は、オニキスダイヤルとあらゆるケース素材の組み合わせを試した結果、このふたつに落ち着いたと私に語った。ホワイトゴールドはこの特別感を出すには物足りず、A.ランゲ&ゾーネは以前にもホワイトゴールドのサクソニアにブラックダイヤルを組み合わせたモデルを製造している。しかしハニーゴールドとプラチナはテストでうまく機能した。ハニーゴールドのケースとブラックダイヤルはケースの色をよりホワイト寄りに押し出すが、それでもわずかにイエローとローズの色合いを保っている。

ハニーゴールドバージョン。

プラチナバージョン。

 しかしながらハニーゴールドの魅力のひとつは、ブランドがこの素材をめったに使わないことだ。最近では、ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン・ハニーゴールド “ルーメン”や、オデュッセウス ハニーゴールドなど近年勢いを増しているように見えるが、デハス氏は使いすぎを心配する必要はないと私に語った。ハニーゴールドは加工がきわめて難しいため、オデュッセウス ハニーゴールドのブレスレットの課題はさておき、製造できるケースの数には限界があるのだ。彼らはまた、この素材の美しさの一部が光によって色合いが変化するだけでなく、その希少性にあることを理解している。今後、この素材がこれほど頻繁に使われることを期待すべきではないが、今あるうちに楽しむことはできるだろう。

基本情報
ブランド: A.ランゲ&ゾーネ(A. Lange Söhne)
モデル名: サクソニア・フラッハ(Saxonia Thin)
型番: 211.052, 211.062

直径: 40mm
厚さ: 6.2mm
ケース素材: ハニーゴールド(HONEYGOLD®)750とプラチナ950
文字盤色: 925シルバー、ブラックオニキス張り
インデックス: ゴールド750、ロジウム仕上げ
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ブラックでグロッシーなアリゲーターレザーストラップ、ケースと同素材のピンバックル


ムーブメント情報
キャリバー: L093.1
機能: 時・分表示
直径: 28mm
厚さ: 2.9mm
パワーリザーブ: 72時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 21
クロノメーター認定: なし
追加情報: 未処理のジャーマンシルバー製プレートとブリッジ、手彫りのテンプ受け

価格&発売時期
価格: 約4万5000ユーロ(日本円で約800万円、日本での価格は要問い合わせ)
発売時期: 発売中
限定: あり、各200本限定